プロセスマイニングとは?5分でわかる徹底解説

業務改革コンサルタントの与田です。今回は近年注目され始めているプロセスマイニングとはどのようなものか?導入するメリット・デメリットなどを解説します。

プロセスマイニングとは?

そもそもプロセスマイニングって何でしょうか?まずはその定義と注目される背景を解説します。

プロセスマイニングの定義

Wikipediaによるとプロセスマイニングの定義は

イベントログに基づくビジネスプロセスの分析をサポートする、 プロセス管理の分野における一連の技術である。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%83%AD%E3%82%BB%E3%82%B9%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%83%8B%E3%83%B3%E3%82%B0

かみ砕くと、業務で使っているシステムのログを元に業務の可視化や分析を行うツールを指します。

取得するログは

  • SAPやSalesforceなどのメジャーな業務システム固有のイベントログ
  • Windowsのログ
  • マウスやキーボード操作ログ
  • 操作画面のキャプチャ

などがあり、ツールによって収集するログや可視化できる項目が異なります。

また、特定業務のワークフローを可視化するものを「プロセスマイニング」全体の業務量を可視化するものを「タスクマイニング」と分類する場合もありますが、プロセスマイニングラボではどちらもプロセスマイニングと定義して解説します。

 

プロセスマイニングが期待される背景

もともとプロセスマイニングは2010年代はじめからドイツを中心に広がりました。欧州企業ではSAPなどのERPを活用しているケースが多いため、プロセスマイニングで固有のイベントログを収集し最適な業務フローを導き出すためのツールとして活用されています。

日本でも近年RPAをはじめとした業務自動化の盛り上がりとともにプロセスマイニングにもスポットライトが浴びようとしています。ひと昔前であれば、業務自動化をするといえばシステム開発くらいしか選択肢がありませんでしたが、現在はRPA・パッケージソフト・SaaSの活用などツールが溢れかえっています。

正しい業務自動化の施策を判断して、システム投資をしていくためには現状の業務を把握することが不可欠です。一方で日本は業務が属人化している割合が多く、自動化以前の業務把握で苦戦することが多々あります。

プロセスマイニングを活用することで、自動化のボトルネックになっていた業務把握を効率よく進めることができます。それによって業務の生産性が飛躍的に向上することが期待されています。

プロセスマイニング出来ること

 

プロセスマイニングツールによって出来ることは変わりますが、メジャーな機能をご紹介します。

現状の業務可視化

PCやブラウザのログを収集することで、誰が「何を」「どれくらい」やっていのか可視化することができます。どれくらいの粒度で可視化することができるかはツールによって違いますので導入前に検証の必要があります。

従業員を監視するようなツールに似ていますが、データを業務改革に活かすためには「Excelを1日5時間つかっている」というような粒度のデータでは活用できません。「〇〇向けの広告運用レポートExcel作成に毎月2時間使っている」など具体的な業務と改善方法がイメージできるデータを示すことができるプロセスマイニングツールが業務改革に向いています。

現状の業務課題分析

効率化したい特定の業務が見つかった後に、システムのイベントログを収集することによってその業務の手順やリードタイムを詳細に可視化する機能を使うことで業務課題を分析することができます。

例えば、請求書の処理業務を対象とする場合には1月の中で何件の請求書処理をしていて、処理にかかる平均の時間や確認の手順などがフローチャートとして現れます。これをもとに、最適プロセスへの標準化やボトルネックとなっている箇所のシステム化などの施策を考える材料となります。

さらに業務のなかで発生するイレギュラーな対応も網羅的に洗い出すことがでます。例えば「請求書の必要な項目が空欄だったので差し戻しの手順を行う」ことや「緊急対応のため、所定の手順をスキップして入金処理を行うケース」などです。このような場合でもシステム化の際には例外パターンを完璧に要件定義できることも大きなメリットです。

 

業務改革の効果測定

業務改革はシステム化などの施策を行ったらそれで終わりではなく施策実行によってどのような効果があって、どの箇所ではまだ課題が残っているかを検証し、次の施策実行へと繋げていくサイクルが重要です。

プロセスマイニングを継続的に活用することでこのサイクルを効率的に回すことが可能になります。常に取得している業務ログデータが蓄積される為、施策実行後と実行前で業務の中でどのプロセスにどのような効果があったのか(または無かったのか)をファクトベースで把握することができます。これを人力でヒアリングして調査する場合かなりの労力が必要になります。

このデータをもとに今後どのようなシステム投資が必要か、継続的に業務改革を推進する体制が実現します。

 

プロセスマイニングメリット/デメリット

プロセスマイニングによって様々な効果があることはわかりましたが、導入の判断はどのようにすればいいのでしょうか?以下に導入のメリットとデメリットを整理しました。

プロセスマイニングのメリット

・ファクトベースでシステム投資ができる


少し前までは業務改革の手段としてはシステム化くらいしかありませんでした。

しかし近年RPAや特化型SaaSなどが急増し、業務改革の為の施策の選択肢は膨大になっています。

ここで現状を把握せずになんとなくでシステム投資をしていては自社にあった最適なソリューションを選ぶことができません。

プロセスマイニングを活用することでまずは自社の業務課題を認識し、それにあった最適なソリューションをファクトベースで選択していくことが可能になります。

・業務可視化にかけていたコストを削減できる


業務を自動化するプロジェクトを行う際に最も時間がかかる工数は開発ではなく、要件定義のフェーズです。仮に業務コンサルタントに依頼して業務の可視化から分析・要件定義まで行った場合、コンサル1人あたり月100万円以上の報酬が必要となるため非常にコストがかかってしまいます。

そのため、今までコンサルに依頼して可視化を行っていた企業はプロセスマイニングを活用することで圧倒的に低コストかつ抜け漏れのない業務可視化を実現することができます。

プロセスマイニングのデメリット

プロセスマイニングを行うことによって発生するデメリットは基本的に起こり得ませんが、ただ気になるのはコスト面かと思います。

・プロセスマイニング導入にかかるコスト
まず、プロセスマイニングツールのライセンス費用がかかります。

料金はツールによって様々ですが、月数万円から使えるものから数百万円のものまであります。自社の用途や規模にあわせてツール選定を行うことが必要となります。

また、導入の際には各種システムとのデータ連携やデータの定義づけなど多くの工数が必要になります。

そのため導入には初期費用がかかるものが多く、数十万~数百万円のレンジとなっています。

それでは、プロセスマイニング導入の費用対効果はどのように計測するのが良いのでしょうか?


プロセスマイニングは可視化を行うツールですが、目的を伴わない可視化ほど意味の無いものはありません。プロセスマイニングによってもたらされた業務改革の施策こそが価値となります。

導入トライアルや継続判断をする際にはプロセスマイニングによってどれほどの施策が生まれているか、費用対効果を見る為のポイントとなります。

主なプロセスマイニングツール

プロセスマイニングツールは様々ですが、国内で主要なツールをいくつかご紹介します。

Celonis

Celonisは世界で最も普及しているプロセスマイニングツールです。2011年にオートメーションのメッカであるドイツで誕生し、現在は全世界800社以上で利用されています。国内にも法人があり、KDDIやSmartHRなどの企業で導入が進んでいます。

大きな特徴としてはSAPやSalesforceなどのビジネスで定番のシステムとの連携機能に優れており、これらのシステム上で行われているイベントログから緻密に業務分析を進めることが可能になります。また、クラウド型での提供となっているため各クライアントにインストールすることなく利用することが可能です。

 

MeeCap

MeeCapは純国産のプロセスマイニングツールで、金融機関を中心に利用されています。大きな特徴の1つとしてはHappyPathというMeeCap独自の機能があり、これによって特定の業務の中での正常系処理と例外処理を明確にすることが可能です。

各クライアントにインストールするタイプのツールとなっており、キータイプやアプリの使用率など把握することができ従業員1人1人の働き方を詳細にみることで業務改革を進めていくことができます。

Arkプロセスマイニング

Arkプロセスマイニングも純国産のツールであり、国内でユーザー数を増やしています。特徴としては、各クライアントにインストールするタイプでWindowsのログをもとに業務可視化を行うため、どのようなアプリを利用していても対応できる汎用性の高さです。

またシステムの操作と業務を紐づけることができるので、どの業務に時間がかかっているのか簡単に可視化することが可能で業務改革の施策検討に活用できるツールです。

プロセスマイニングの導入事例

実際にプロセスマイニングを活用することでどのような効果がでているのか?代表的な事例をいくつかご紹介します。

Uberの事例

日本ではUberEatsでお馴染みのUberは2009年設立ながら世界70カ国・地域の450都市以上で自動車配車サービスを展開する企業です。この規模まで急成長を遂げた弊害として、各拠点においてカスタマーサポートにばらつきが大きくプロセスに無駄多いという課題がありました。しかし、各国膨大な数の拠点があり直接どのように業務を行っているのか調査することは極めて困難でした。

そこでUberは「すべての顧客とパートナーに一貫した高品質のサービスを100%の時間で提供する」ことを目的として、カスタマーサポートのコンタクト処理に対してプロセスマイニングを行いました。その結果、思わぬ非効率性を発見することに繋がり業務の標準化やRPAによる自動化を実装することで2000万ドル(日本円で約20億円)の効率化を実現しました。

BMWの事例

BMWは言わずと知れたドイツの自動車メーカーです。ここでは既に複数の分野でプロセスマイニングを活用しています。中でも製造/生産の分野では深く活用しており、製造業においてはベンチマークすべきモデルケースとなっています。

プロセスマイニングを活用するきっかけとなったのは、ある革新的な塗装工場の導入がきっかけでした。BMW社内ではこの塗装工場の導入について否定的な意見も多かったため、その根本原因(特定の色の塗料のエラー、時間をとっている作業、手直しの必要性など)を特定使用としました。しかし、それらを人による観察で測定することは困難であったためプロセスマイニングに白羽の矢が立ちました。ここでプロセスマイニングを導入したことによって、今まで見えていなかった製造プロセスまで明らかになり、改善活動を効果的に推進できることができ全社へと広げることになりました。

現在では自動車1台あたりの製造コストやエネルギーコストの分析、工場ごとのパフォーマンスの違いを比較することによって継続的な生産性向上にプロセスマイニングを活用しています。

プロセスマイニングとRPA

プロセスマイニングはRPAとも親和性の高いソリューションです。場面によってその活用方法をご紹介します。

これからRPAをはじめる場合

これからRPAを始める場合、実際に業務をRPA化していく前に対象業務を棚卸してどこからRPA化していく必要があります。業務ヒアリングやアンケートによって棚卸しを進めることもできますが、プロセスマイニングを活用して可視化することでRPAのスタートダッシュを圧倒的に効率よく進めることができます。

また、初期の対象業務選定では自動化のインパクトが大きいかつ自動化にかかる工数が少なくスモールスタートができる業務を見つけることが重要となります。RPAを始める前にプロセスマイニングで各業務のボリュームと利用しているシステム・データを知ることで業務選定の大きな手助けとなります。

そもそもプロセスマイニングによって現状分析をした結果RPAを実施するよりも、システム化やBPRのほうが最適であるという結論になる可能性もあるので自動化の前に現状を知ることが業務改革を成功させる上で重要です。

すでにRPAを活用している場合

すでにRPAを推進しており、業務を自動化している場合においてもプロセスマイニングの活用は有効です。

まず、RPAの対象業務選定を人力のヒアリングなどに頼って行っている場合はプロセスマイニング導入によってその工数が削減されます。さらにデータドリブンで自動化を進めることができるので、要件定義の抜け漏れによって発生する開発の手戻りも予防できます。

また、RPAを推進していると現場から対象業務が上がってこなくなりネタ切れに陥ることがありますが、プロセスマイニングはブラックボックス化されている業務を掘り起こすことができるので対象業務が枯渇しづらくなります。これによって対象業務が増えていくのでRPAをスケールさせていくことが容易になります。

まとめ

日本ではまだプロセスマイニングを活用している事例は少ないですが、RPAなどの業務改革を進める上で外せないソリューションです。
今までは「流行りだから」「他社もやっているから」といった理由で業務改革のツールが選ばれることが多い現状です。しかし、プロセスマイニングを活用する企業が増えることで、自社にとって必要なソリューションをデータドリブンで選択していくことが可能になります。自動化の技術も日々進歩していきますので、常に自社業務を把握していることが業務改革でリードするために重要となり競合他社との優位性になります。

プロセスマイニングラボ(略してプロラボ)では、プロセスマイニングの基本的な知識から活用方法、事例などをわかりやすく発信して参りますので他の記事もぜひ参考にしてみてください!