「とりあえず導入」は失敗のもと?プロセスマイニングのデメリットと対応策を徹底解説

デメリット2.導入の際に工数がかかり、導入の障壁が高い

プロセスマイニングのデメリットとして、導入にかかる工数が大きいことがあります。なぜ工数が大きいことがデメリットになるのかと言うと、プロセスマイニングを導入したら、それで終わりと思っている人が多いためです。

新しいプロジェクトを行う時や、ツールを導入するときには工数がかかることは当然のように思いますが、ロボットを導入するとなると導入すればそれで終わりだろうと思ってしまっている人が多いのです。なので、いざ導入してみたら想像していたよりも人員がかかる、時間等の工数がかかることでデメリットと感じる人がいるのでしょう。

また、導入の障壁として、試しに導入してみて業務は削減できることがわかってもそこに咲いている人を他の業務に当てられないため導入を断念すると言うケースもあるようです。

具体的にこれらがどのような課題になるかと言うと

「プロセスマイニングを導入するところまではできても、思ったより工数がかかるため人員や時間をうまく避けずに断念してしまう。」

「業務を効率化する見込みはあっても、孤立化した後に浮いた人員をどうするかが決まらずに導入を断念してしまう。」

などがあります。

ではこれらのデメリットに対してどのように対策していけば良いのをお話ししていきます。

対応策

①導入したら終わりという間違った認識を捨てる

まず、プロセスマイニングや自動化のツールを導入するときは、ツールを導入したらそれで終わりと言う間違った認識を捨てるようにしましょう。ここを返してしまうと、思ったような効果に繋がらなかったり目的設定を間違ってしまったりします。

ロボットと言うととても万能なように聞こえますが、プロセスマイニングは導入してからが始まるツールです。プロセスマイニングがどのようなツールで、どのように使えば最大限に効果を発揮できるのかをしっかりと理解すれば誤解もなくなると思います。

プロセスマイニングはあくまでシステムですが、二人三脚で頑張っていくと言う意識で導入していくようにしましょう。

②目的を見失わず、目先の成果に囚われない

プロセスマイニングの機能や特徴を理解できたら、適切な目的設定を行うようにしましょう。別の所でも書いていますが、この目的目的設定が短期的なものだと成果も小さくなりやすいです。もし短期的な目的を設定する場合には、その先の長期的な目的も設定した上で段階的な目的を設定しましょう。

③今すぐではなく、未来への先行投資という認識を持つ

プロセスマイニングの導入は、どうしても会社内や組織で優先度が下がりやすいです。なぜなら業務改善は行わなくても業務自体は成り立つからです。すぐに利益が発生する業務と、すぐにでは利益が発生しない業務だったら利益が発生する業務を優先しがちなのは仕方がないことではあります。しかし短期的な目で1ヵ月2ヶ月で見たら確かに利益は大きくなるかもしれませんが、一年2年単位で見たときにはどうでしょうか。今すぐには問題がなくても数年後に人員が不足したり業務が多くなって追いつかなくなったりする可能性もあります。

このことからお分かりいただけると思いますが、プロセスマイニングは未来への大きな先行投資です。プロセスマイニングを導入して成功する企業は、目先の利益よりも数年後に会社としてどうありたいかを優先する傾向にあります。そのためプロセスマイニングの導入が成功しやすいのです。

プロセスマイニングだけにとどまらず、システムなどの自動化ツールを導入するときは新入社員を迎える時と同じように手順を踏んで育成していきます。最初は大きな工数がかかってしまったり、ミスが多かったりするかもしれませんが、今きずよく育成してあげると数年後には会社に貢献するような存在になりますよね。プロセスマイニングも同じなのです。

デメリット3.すぐに効果が出にくい

プロセスマイニングは導入してから成果が現れるまでに数ヶ月から1年ほどまでかかります。なぜこれほど多くの時間がかかるのかと言うと、プロセスマイニングでイベントログデータを取得するのにおよそ1週間から1ヶ月ほど。その後に改善案をもとに自動化ツールを導入したり業務を効率化するので数ヶ月から1年ほどかかります。今は1つの業務を自動化するまたは効率化する場合のお話をしましたが、基本的に業務改善に終わりは無いので成果として図るのも難しいのです。

これほどまでに時間がかかる理由として他にも何点かあげていきます。時間がかかる理由としては、業務が複雑で量が多ければ多いほど時間がかかるためです。タイミングは中小企業から大企業で導入されることが多いツールですが、大企業になると業務システムがとても複雑であったり業務の量も多い場合が多いです。そうすると通常の業務よりイベントログの収集にも時間がかかります。

先ほども少しお話ししましたが、業務改善は1つの業務を効率化できたらそれで目的達成と言うわけではないです。多くの場合、目的を達成するまでにはいくつもの業務を効率化して根本的な業務システムを改善していく必要があります。そのため、短期間の改善で業務が根本から変わると言う事はあまりないのです。

もう一つの理由としては、1度の可視化で完璧に業務を網羅できるとは限らないためです。例えば業務が思ったよりも複雑だった場合、別の方法で業務を可視化しないとなりません。さらに、可視化はできたとしても効率化が不可能な場合もあると思います。

これらのデメリットが具体的にどのような問題点があるのかと言うと、業務を効率化したときに対応ができないため継続自体が困難になってしまい、他の優先度が高い業務を優先してしまうなどがあります。

では、すぐに効果がでないことをデメリットと感じてしまう場合にはどうすればいいのでしょうか?

対応策

これらのデメリットに対する対応策は下記の3点です。

①急ぎの導入はしないで、目的設定と可視化には十分に時間が割けるようにする

プロセスマイニングを導入するときには特に、急ぎの導入はなるべくしないようにしましょう。やむを得ない事情があるときは仕方ないですが、基本的にプロセスマイニングを導入して業務改革を行うときは十分な時間と人員が避けるような状態にしておくのが理想的です。業務改革の成功を左右する目的設定は特に時間をかけて行うようにしましょう。

②業務改善は行い続けるものという認識を持つ

デメリットとしてすぐに効果が出ないことありましたが、業務改善はそもそも終わりが存在しないものです。業務が効率化されたとしても、新しい状態の業務システムの改善点が見つかる場合もあります。業務改善はそもそも終わりのあるプロジェクトではなく、一生付き合っていく人間て言うと健康診断のようなものなのです。

③万能な機械ではなく、トライアンドエラーを繰り返すものだという認識を持つ

最後の対応策として、プロセスマイニングはシステムではありますが、トライ&エラーを繰り返すものであると言う認識を持つことが大切です。どうしても機械やシステムと聞くと何でもできる万能なものだと思う方が多いのですが、精度や質は向上しても、何でもできると言うわけではありません。

プロセスマイニングも、人と同じで1つのプロジェクトに対して何度も何度もトライ&エラーを繰り返して成功へとつなげていくのです。

このようにプロセスマイニングは、十分な時間やコストをかければ時間はかかってもちゃんと効果が出るようになります。

もしあなたが会社の採用担当で、5年後に確実に会社に貢献できることがわかっている人が目の前に現れたら採用したくなりますよね。プロセスマイニングは、専門的な素質を隠し持った新入社員のようなものなのです。

デメリット4.プロセスマイニング自体の費用対効果の計測が困難

プロセスマイニングでは、業務を効率化したときの効果は事前に知ることができます。

しかし、プロセスマイニングを導入する前に導入後にどのくらい効果がでるのかは実は計測が難しいのです。

なぜなら、プロセスマイニング自体は利益を生むツールではなく、業務改善の策を提供するツールだからです。

強いて言うなら業務改善の策がプロセスマイニングの成果になります。

例えるなら、スポーツチームにコーチを雇うような感覚です。戦略や改善方法などが教えてくれますが実際にチームを良くしていくのは選手たちです。のようにプロセスマイニングも作は提供しますが、その施策をもとに実行に移していくのはツールを導入した社内の社員たちなのです。

このことから、プロセスマイニングはコスト削減が導入目的でない限り、費用で効果を測定してもあまり意味がないことにお気づきいただけると思います。

コスト削減を目的に導入した場合は、削減できたコストをもとにプロセスマイニングの費用対効果を出すことも可能ですが、コスト以外の削減目的の時はその成果がどれだけ達成できたのかで費用対効果を図るようにしましょう。

このデメリットにおける具体的な問題点を今から上げていきます。
まず、費用対効果が明確に提示できないことで、経営層に導入を認めてもらえない可能性があります。これはプロセスマイニングだけではなく、すべての自動化ツールに共通することなのですが、ツールを導入して得られる効果を具体的に提示できないとどうにも認めてもらえないと言う声が多くあります。

ここで1番わかりやすいのはコストだと思いますが、個数を削減できる場合などはコストを削減することでどのようなメリットがあるのかを具体的に提示する必要があります。プロセスマイニングは導入してからでないとどのような効果が出るのかが分からないため提案しにくいと言うデメリットがあります。


次に、成果が見えず途中で導入を諦めてしまうというデメリットがあります。プロセスマイニングは少し前でもお話しした通り、成果がすぐには出ないツールです。早くても数ヶ月、長ければ数年かかることも容易にあり得ます。ここで途中に成果を計測するときに、周りからは成果が出てないように見えてしまいます。その場合に、事前に立てた目的設定をもとに本当に成果が出ていないのか、もしくは今見えていないだけなのかを判断する必要があります。ここで、目的設定が曖昧であったり、今成果が見えていないだけと言う可能性を捨ててしまうと導入を断念する形になります。

対応策


「費用対効果ではなく、目的達成度で成果を測る」


「数値としてはでなくても、改善することのメリットを提示できるようにする」

などがあります。

プロセスマイニング自体は費用対効果の計算が難しいですが、事前に目的設定を設定しておけば、それをもとに効果が出ているのか出ていないのかの判断ができます。また、費用対効果の継続が難しいことから周りの理解がしにくい場合は、ツールとしてわかりやすい効果はなくても、導入することにおけるメリットを具体的に提示できるようにしておきましょう。


プロセスマイニングは、数値での費用対効果は見れなくても、目的がどのくらい達成されているのかで効果を測定することは可能です。

やはり、明確な目的設定がプロセスマイニングデメリット対策の鍵と言えるでしょう。

まとめ

れぞれの項目でデメリットとその対応策についてお話ししてきましたが、すべてに共通して言えることが「明確な目的設定が必要」なことです。

目的設定の方法については、『はじめてのプロセスマイニング入門ガイド』にて詳しく解説しています。より深く知りたい方は、こちらの資料も参考にしていただけたら幸いです。

【リニューアル版】はじめてのプロセスマイニング入門ガイド

プロセスマイニングはまだ事例が少なく導入の工数やコストもかかる手法ですが、機能をしっかりと理解して使用すればリスクをできる限り小さくすることが可能です。

この記事を読んでいただいた方に「プロセスマイニングはコツさえ押さえれば導入できる」ことが伝われば嬉しいです。

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