「SaaSとは」が5分でわかる!意味や代表的なサービス例を解説

クラウドの普及により、SaaSやPaaS、IaaSといった用語が広く知られるようになりました。一方で、業務改革やDXを推進している担当者の中には以下のような疑問を抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

  • SaaS、PaaS、IaaSの違いが分からない
  • SaaSを導入するメリットやデメリットとは何か
  • どうすればSaaSの導入が成功するのか

本記事ではSaaSの基本的な意味や、SaaSのメリットとデメリット、代表的なサービス例について解説します。

SaaSの意味とは?PaaS・IaaSとの違いも解説

クラウドのビジネスモデルの1つである「SaaS」。ソフトウェアをインストールする必要なく、インターネット上で提供されるソフトウェアのことです。

また、SaaS以外にもIaaS、PaaSなど、さまざまなクラウドサービスがあります。ここでは、SaaSの意味やSaaS以外のクラウドサービスについて詳しく説明します。

SaaSの意味

SaaSとは、「Software as a Service(サービスとしてのソフトウェア)」の略称で、インターネットにアクセスするだけで使えるソフトウェアのことです。SaaSは、“サース” と読みます。

SaaSは、さまざまな種類のソフトウェアが提供されており、多くの企業や組織で利用されています。Google Workspace、Slack、Dropbox、Zoom、Microsoft Office 365などが代表的なSaaSサービスです。

SaaSとPaaS・IaaSの違い

SaaS、PaaS、IaaSは、すべてクラウドサービスの種類ですが、サービスを提供する範囲が異なります。

PaaS(パース)

PaaSは「Platform as a Service(サービスとしてのプラットフォーム)」の略語で、クラウド事業者がミドルウェア、OS、サーバー、ネットワークなどの環境を提供します。PaaSは「パース」と読みます。

Google App EngineやHerokuがPaaSの一例です。PaaSを利用することにより、開発者はアプリケーションの開発に専念でき、開発の生産性が向上することがメリットです。

IaaS(イアース・アイアース)

IaaSは、「Infrastructure as a Service(サービスとしてのインフラストラクチャ)」の略語で、ネットワーク、サーバー、ストレージなどのインフラを提供するサービスのことです。PaaSと違い、OSやミドルウェアは含まれません。

Amazon Web Services(AWS)やMicrosoft Azureが代表的な例です。IaaSは「イアース」または「アイアース」と読みます。

SaaSを導入する目的

企業がSaaSを導入する目的は、主に以下の3つです。

  • 初期導入コストの削減
  • 拡張性と柔軟性の向上
  • アクセス性と生産性の向上

初期導入コストの削減

SaaSは、自社でソフトウェアを開発する必要がなく、あらかじめクラウド事業者が用意したサーバーやソフトウェアを利用できます。また、サーバーを購入して構築する必要もありません。そのため、初期開発コストを削減できます。

拡張性と柔軟性の向上

SaaSは、必要に応じてサービスを拡張できるため、拡張性と柔軟性の向上につながります。自社で保有・管理をするオンプレミスのサーバーであれば、拡張するためには物理的にメモリやCPUを入れ替える作業が必要になりますが、クラウドではボタン1つでサーバーを拡張することも可能です。

また、柔軟性があるので、ビジネスの変化にも対応できます。つまり、今後ビジネス環境が変化しても、サービスを柔軟に変更できるのです。

アクセス性と生産性の向上

SaaSはクラウド上で提供されるため、場所にとらわれずにアクセスできます。SaaSサービスにログインすればどの端末からでも同じ情報を閲覧することが可能です。

ユーザーがソフトウェアをインストールしたり、メンテナンスを行なったりする必要がないため、生産性が向上します。

SaaSを活用する3つのメリット

ここではSaaSを活用するメリットについて詳しく紹介します。

メリット1.導入が簡単にできる

SaaSには専門知識や設備が必要なく、インターネットに接続することができる環境があれば利用可能です。

従来のパッケージソフトウェアの場合、導入には専門的な知識や設備が必要であったり、導入までに時間がかかったりすることがありました。一方でSaaSは簡単に導入ができるため、迅速な対応が求められる業務においても大きなメリットを発揮します。

メリット2.安い費用で導入できるものが多い

導入コストの低さもSaaS活用のメリットです。自前でサーバーやソフトを用意する必要がないため、サーバー費用や人件費の削減ができます。

月額料金や利用量に応じたサブスクリプション型の従量課金などの柔軟な課金体系が一般的です。必要な機能だけを選んで利用することができるため、無駄なコストをかけることなく、必要な機能だけを手軽に利用できます。

メリット3.自社での開発が不要

SaaSを活用することで、自社でのシステム開発が不要となります。SaaSではすでに開発・運用されたサービスが提供されているため、自社での開発コストを抑えることができます。

また、SaaSは運用も提供元側で行われるため、サービスの維持・更新に必要なエンジニアリソースを自社で確保する必要がありません

そのためエンジニア不足に悩む企業でも、効率的に業務改善やDX推進を進めることができます。

SaaSは月額固定料金で利用できるものが多く、初期投資やランニングコストを抑えられることも魅力のひとつ。中小企業でも導入しやすいため、日本企業の全体の業務効率化やコスト削減に大きく貢献しています。

SaaSの2つのデメリットと注意点

ここではSaaSを活用する上でのデメリットと注意点について紹介します。

1.カスタマイズ性や自由度が低い

SaaSはある程度標準化されたシステムを提供するため、個々の企業に合わせたカスタマイズができない場合があるのがデメリットです。既存のシステムにSaaSを組み込む場合、業務プロセスやワークフローに合わせての柔軟な対応ができない場合も。

導入前に自社の業務に合う形に変更できるサービスを選ぶことが大切です。期間限定の無料トライアルが提供されている場合があるため、無料トライアルを利用して、自社に合うかどうかを判断していただくと良いでしょう。

2.SaaSのアップデートに対応する必要がある

SaaSは提供元側で定期的にアップデートされるため、サービス内容、機能や使い方が変わることも。そのため、ユーザー側でもアップデートに対応する必要があります。

アップデートに対応しない場合、サポートが打ち切られたり、セキュリティの脆弱性が残ったままになる可能性があります。そのため、SaaSを利用する場合は、利用規約やサポート体制、バックアップの有無などを事前に確認すると良いでしょう。

具体的なSaaSのサービス例

代表的なSaaSサービスとしては、メールやカレンダー、ファイル共有、顧客管理、人事・給与管理などがあり、企業だけでなく個人でも利用されています。

中でも特に多くの企業で利用されている代表的なSaaSサービスを紹介します。

社内コミュニケーションツール

ビジネスに必要なコミュニケーションを円滑に行うために、Slack、Chatwork、LINE WORKSのようなビジネスチャットツールが注目を集めています。

1.Slack

Slackは、特に外部との連携に優れたツールで、多数の外部サービスとの連携が可能です。また、メッセージ検索機能やスレッド機能、チャンネル分けなど、チーム内でのコミュニケーションをスムーズに行うための機能が充実しています。

参考:Slack

2.Chatwork

Chatworkは、中小企業向けのビジネスコミュニケーションツールです。チャット、タスク管理、ファイル共有、ビデオ通話などの機能があります。特に、タスク管理機能が充実しており、タスクに期限を設定したり、進捗状況を管理したりすることができます。無料で始めることが可能です。

参考:Chatwork

3.LINE WORKS

LINE WORKSは、LINEのノウハウを活かして開発されたビジネス向けアプリです。グループチャット、タスク管理、ファイル共有機能を備えています。ビデオ会議や画面共有などの機能も充実しており、リモートワークにも対応しています。

参考:LINE WORKS

オンライン会議ツール

主なオンライン会議ツールとして、Zoom、Google Meet、Microsoft Teamsが挙げられます。

1.Zoom

Zoomは、オンラインビデオ会議やウェビナー、オンラインミーティング等の機能と最大1000人が参加可能なビデオ会議ツールです。強固なセキュリティ対策により安心して利用できる点が特徴です。無料版も手軽に利用できます。

参考:Zoom

2.Google Meet

Google Meetは、使いやすさが特徴のビデオ会議ツールで、高品質な音声・映像通話が可能です。Googleアカウントでログインすることで、Google CalendarやGmailとの連携ができ、スケジュール調整が容易です。

参考:Google Meet

3.Microsoft Teams

Microsoft Teamsは、ビジネスに必要な機能が統合されたコミュニケーションツールで、ビデオ会議、チャット、ファイル共有、タスク管理ができます。Office 365との連携が強く、チームメンバーと共同作業しながら進めることができる点が特徴です。

参考:Microsoft Teams

CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)/SFA(セールス・フォース・オートメーション)

主なCRM/SFAとして、SalesforceやKintone、HubSpotが挙げられます。

1.Salesforce

Salesforceは、クラウド型の顧客管理システムで、営業部門やマーケティング部門で広く使われています。顧客情報の管理やセールスプロセスの強化、カスタマーサポートの改善など、幅広いビジネスニーズに対応できます。

参考:Salesforce

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2.Kintone

Kintoneは、ノーコードでアプリを作ることができるためシステム開発経験のない社員にとっても使いやすいツールです。営業活動や顧客管理、商談管理、見積書管理、契約管理などの業務に対応しています。APIも提供されているため、他のシステムとの連携も可能です。

参考:Kintone

3.HubSpot

HubSpotは、マーケティング、セールス、カスタマーサポートを1つのプラットフォームで提供しています。見込み客に関するデータの収集から顧客管理、メールマーケティング、セールスプロセス管理、カスタマーサポート向けのチケット管理など、多くの機能を備えています。

参考:HubSpot

プロジェクト・タスク管理ツール

主なプロジェクト・タスク管理に特化したツールとして、Trello、Wrike、業務改革クラウドがあります。

1.Trello

Trelloは、付箋を貼るような形でカードでタスクの管理ができるプロジェクト・タスク管理のSaaSサービスです。開発チームやマーケティングチームなど多くの企業で利用されており、進捗管理が簡単に行えます。

参考:Trello

2.Wrike

Wrikeは、タスク管理やプロジェクト管理に特化したSaaSサービスです。タスクの進捗状況をグラフ形式で表示することができ、複数チームでのプロジェクト進行もスムーズに行えます。プロジェクトメンバーへのタスクの割り当ても簡単で、柔軟なプロジェクト管理が可能です。

参考:Wrike

3.業務改革クラウド

業務改革クラウドは、業務プロセスを最適化するためのクラウドサービスであり、ビジネスプロセスの可視化や改善提案、自動化などの機能を提供しています。業務改善に特化した機能や専門的なサポートを提供するため、導入に際しては専門的な知識が必要とされます。

参考:業務改革クラウド

MAツール(マーケティング・オートメーション)

MAツールには、Adobe Marketo Engage、Pardot、KARTEが挙げられます。

1.Adobe Marketo Engage

Adobe Marketo EngageはBtoB向けのMAに特化したクラウドサービスです。見込み客管理、メールマーケティング、イベント管理など、セールスに関わる機能を提供しています。

見込み客が特定のトピックに関心を持っている場合、カスタマイズされたコンテンツを提供し、自動で見込み客の購買意欲を評価することができます。

参考:Adobe Marketo Engage

2.Pardot

PardotはB2B向けのMAツールで、メールマーケティング、見込み客管理、スコアリング、レポートなどの機能を提供しています。Webフォームを使用して見込み客に関する情報を収集し、SalesforceなどのCRMシステムに自動的に統合することが可能です。

参考:Pardot

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3.KARTE

KARTEは、ウェブサイト上での顧客行動のトラッキングや分析、ターゲティング、コミュニケーションの自動化などが可能な、日本発のMAツールです。ユーザーがウェブサイト上でどのような行動をしているかを視覚的に表現することが可能です。

また、自社のWebサイトでアンケートを簡単に作成し、収集した情報を基にマーケティング活動を行えます。

参考:KARTE

経理

主な経理関連のSaaSサービスとしては、マネーフォワードクラウド、freee会計があります。

1.マネーフォワードクラウド

マネーフォワードクラウドは、中小企業向けのクラウド型経理ソフトです。経理業務の自動化やレポート作成、請求書の発行と管理など、多数の機能を提供します。例えば、銀行口座との連携によって、入出金の自動記帳が可能です。また、「マネーフォワード給与」という給与計算ソフトウェアも提供しており、簡略化されます。

参考:マネーフォワードクラウド

2.freee会計

freee会計は、会計帳簿の作成から決算書類までオンライン上で行えるクラウドの経理ソフトです。データの入力や帳簿作成が手入力せずに作成することが可能です。リアルタイムで売上や経費などのデータを把握できるため、経営判断に役立ちます。また、請求書の発行や決済も一括で行えるため、業務の効率化が期待できます。

参考:freee会計

SaaSをうまく活用して、業務効率化を進めよう

SaaSを導入することで、多くのメリットが得られます。

  • 導入が簡単
  • 安い費用で導入できるものが多い
  • 自社での開発が不要

また、SaaSによりビジネスのニーズに合わせてサービスを拡張することができ、柔軟性があるためビジネスの変化にも対応することができます。SaaSを活用して、ビジネスの成果を最大限に引き出しましょう。

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