近年、業務改革・業務改善(BPR)による生産性の向上を目指す動きが活発化しています。これは民間企業だけでなく、総務省や経産省といった政府機関でも行われています。
民間企業においては、チャットツールやオンライン名刺サービスなどを導入したことによって、業務フローの改善が見られた現場がいくつもあります。
一方で、急に新しいツールを使うよう会社から指示され、使い方の説明がなかったため現場が混乱した、という経験のある方もいらっしゃるのではないでしょうか?実際、現場混乱がきっかけで誰もその新しいツールを使わなくなり、業務改革が失敗してしまったという事例も存在します。
当たり前のことではありますが、やみくもにツールを導入しても業務改革は成功しません。
本記事では、業務改革・業務改善を進めるにあたり、失敗しないためのポイントについて失敗事例を挙げながらご紹介いたします。
業務改革・業務改善に失敗する3つの理由
業務改革に失敗する理由として次の3つが挙げられます。
業務改革の目的や目標の設定が甘い
業務フローや業務内容の可視化ができていない
ツール展開後に現場へ丸投げしている
順番に見ていきましょう。
1.業務改革・業務改善の目的や目標の設定が甘い
業務改革が失敗する理由のひとつに、目的に対する目標が定量的かつ定性的に設定されていないことが挙げられます。
業務改革を始める際は、まず最初に目的を設定します。ここでいう目的とは、業務改革を実施した結果、何がどう変わっているべきかを明確にしたものです。
目的を達成するために設定する指標が目標です。この目標を定量的(数値や数量の要素)かつ定性的(数字以外の要素)に設定することが重要です。
会社で業務効率化ツール等を導入する場合の稟議を通しやすくする効果があるほか、導入後の予実管理、対策検討が適切に可能となるためです。目標設定ができていないと、
- 稟議が通らずツールが導入できない
- ツール購入費の回収計画を管理できない
- 結果を分析し改善策を練って再度実行するPDCAサイクルを回すことができない
といった問題が発生し、業務改革の失敗を招きます。
2.業務フローや業務内容の可視化ができていない
業務改革において、現状の業務フローを可視化することは非常に重要です。どの工程にどのくらい時間がかかっているのかが分からない、改善に向けた対策を講じることができないためです。
まずは工程ごとにかかっている時間を算出し、最も時間を要している工程(ボトルネック)を洗い出します。ボトルネックとなっている工程に対して時間を削減する方法や工程をスキップする方法を検討しましょう。
この業務可視化を手動で行うこともできますが、全工程におけるタスクの洗い出しと時間集計が必要な場合があるため、かなり手間がかかります。業務改革をするために時間のかかる作業を毎回実施しているのは本末転倒と言えます。
業務可視化には時間も労力も要するため、RPA等のツールを導入することで自動化してしまうのも良案でしょう。
3.ツール展開後に現場へ丸投げしている
ツール販売元が提供するマニュアルだけでなく、自分の会社・現場に沿ったツールの使用方法を記載したマニュアルを作成し、現場へ導入・展開する必要があります。現場担当者としては、新しいツールの導入によって今までの業務フローが変わってしまう、新しい作業が増えたと強く感じてしまうものです。
このため、ツール販売元が提供するマニュアルだけを現場へ展開して運用を現場へ丸投げすると、最悪の場合は現場でツールが使われることなく業務改革が失敗に終わります。