1.業務プロセスにおける問題の分析
はじめに、業務プロセスにおける問題の分析を行います。一般的に、問題分析は以下の流れに沿って進められます。
- 業務プロセスの可視化
- 業務改革によって期待する成果
- 業務プロセスにおける問題・課題の洗い出し
大前提として、業務プロセスにおける課題を導き出すためには業務の可視化が必要です。どのような目的に沿って業務が回っているのかを一つひとつ確認します。その上で、業務改革によってどのような成果を期待するのかを明確にします。いわゆる、業務改革の目標や目的の設定です。成果・目標は業務改革が成功した組織の姿をイメージし、組織・システム・人員などの視点から問題・課題の洗い出しを進めます。
問題分析を行う場合は、階層や所属の異なる従業員・経営陣へのヒアリングが非常に重要です。現場の声に耳を傾け、組織として改善すべき問題分析を進めましょう。
2.基本的な計画の策定
業務改革の対象となる範囲やプロセスを明確にします。業務改革の目的や期待する成果に沿って、必要な計画を策定しましょう。
計画策定において必要となる要素は以下の通りです。
- 改革目標やテーマ
- 優先順位
- 必要なプロセス
- 実行の手順
- 業務改革の推進体制やメンバー
- 必要な予算 など
業務改革の規模が大きければ大きいほど、より慎重な計画策定が重要となります。リスクや失敗を可能な限り避けるために、成功事例だけでなく失敗事例なども参考にすることがおすすめです。
必要な戦略や方針を明確にするにあたり、システムやサービスの導入も併せて検討する必要があります。
- ERPシステム
- シェアードサービス
- BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)
3.実行と評価
経営陣や従業員に業務改革の必要性や目的を共有したのち、策定した計画が目的に対してズレていないかなどを摺り合わせます。組織全体で協力して業務改革を行うためにも、従業員への丁寧な説明や疑問解決は怠らないよう注意しましょう。
計画を実行した後は、業務プロセスにおける問題の有無や、問題がある場合は何がいけないのかモニタリングを行います。業務改革における成果を明確にし、問題があれば都度修正を行います。修正を行う場合は、業務プロセスの可視化に戻って繰り返し改革を繰り返すことが重要です。
成功・失敗に関わらず評価の過程は欠かせません。効果測定や達成度評価などを行うことで、「なぜ成功したのか」「なぜ失敗したのか」「なにを修正したらいいのか」を導き出すことが大切です。
業務改革を進めるポイント
業務改革を進めるにあたって重要なポイントが3つあります。
- 大前提として業務の可視化は必須
- 業務改革におけるプロセスは慎重に選択する
- 業務改革と業務改善を使い分ける
業務改革を失敗させないために必要なポイントであるため、しっかりと確認しておきましょう。
1.大前提として業務の可視化は必須
前述した通り、業務改革をするためには業務の可視化が必須です。業務プロセスを可視化しておかなければ、どの部分でどんな課題が生じているのか明確にすることができません。組織にとって本当に必要な業務改革を行うためにも、業務の可視化は欠かせないポイントです。
業務のスキルマップやプロセスマップを作成することによって業務可視化ができますが、それには時間や手間が必要です。また、人間の手で行う作業には抜けや漏れが生じてしまうリスクもあります。そのため、必要に応じて業務可視化ツールの活用なども検討することがおすすめです。
業務可視化ツールとは、従業員がどのような業務にどの程度の時間を費やしているのかを可視化し、傾向やボリュームなどを分析するツールです。ソフトウェアのインストールをするだけで、自動的にデータを収集するため、人員や時間を大きく割かずに業務の可視化を行うことができます。
組織に合った方法を選択し、業務可視化を行いましょう。
2.明確な目的や方針を浸透させる
業務改革を行う際に導き出した目標や方針は、経営陣だけでなく従業員にも浸透させるように働きかけましょう。従業員や経営陣が同じ目標を意識することで、組織全体で業務改革を進めることができるからです。
業務改革は業務プロセス全体を再構築させるため、従業員一人一人への影響は大きくなります。従業員が納得できない業務改革では、反対者の不満が積もり、組織全体の生産性を落としかねません。「なぜ業務改革を行うのか」「何が課題で、どう変えていきたいのか」などを意識して、組織内へ浸透させることが重要です。この際、従業員に対するメリットもしっかりと提示しておくことで、会社本位ではなく、組織全体で業務改革を行う体制を整えることができます。
3.業務改革と業務改善を使い分ける
業務改革を実行する場合、業務改善などのPDCAサイクルも並行して進めることが大切です。PDCAサイクルは継続的な業務改善であるため、大きな業務改革を終えたあとでも継続して取り組むことができます。
業務可視化を行った際、業務改革が必要な部分と業務改善が必要な部分を明確にしておけば、業務改革後の修正プロセスも滞りなく進みます。業務改革そのものを成長させていくためには、継続的な情報収集を行い、PDCAサイクルを回すような体制を整えましょう。
まとめ:業務可視化は業務改革への第一歩
業務改革とは、業務本来の目的を達成するため、既存の業務プロセスを一部または全体的に再建設する抜本的改革のことです。小範囲で継続的に行う業務改善とは異なり、長期的で大規模なプロジェクトとして進める必要があります。
業務改革は変わりゆくビジネス環境に適応するために必要不可欠です。特に業務プロセスにおける課題が明確な組織では、積極的に業務改革を進める必要があります。
企業規模の大小に関わらず、業務改革をするためには業務プロセスを洗い出す業務可視化が鍵を握ります。業務可視化を行うことで、業務プロセスにおける課題や問題を明確化することが可能です。
業務改革の必要性を感じている方は、ぜひ業務可視化から着手してみてはいかがでしょうか。