業務改革(BPR)とは?目的やフローを詳しく解説!

企業の置かれるビジネス環境は目まぐるしく変化しています。ITやAIの普及、破壊的イノベーションへの対応など、ビジネス環境が変化することでビジネス課題の高度化・複雑化を感じている経営者も多いでしょう。

業務改革(BPR)とは、業務プロセスにおける課題を解決するために、業務プロセスや戦略そのものを再構築することです。目先の業務改善ではなく、組織を根本的に改革する方法で、近年さまざまな企業から注目を集めています。

この記事では、業務改革の概要や効果・メリットなどを詳しく解説します。

【この記事でわかること】

  • 業務改革とは?
  • 業務改革の効果と、企業が取り入れるメリット
  • 業務改革のフローとポイント
  • 業務改革と業務可視化の繋がり

業務改革の必要性を感じている方は、この記事を参考に業務改革の第一歩を踏み出してみてください。

業務改革(BPR)とは?

冒頭で解説した通り、業務改革とは業務本来の目的を達成するため、既存の業務プロセスを一部または全体的に再建設する抜本的改革のことです。BPRは、Business Process Re-engineering(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)の略称です。

組織のなかで構築される業務プロセスは、これまでの経営活動で蓄積されたビジネススタイル・風習・文化の影響を大きく受けています。企業に根付く業務プロセスは、ある意味「業界や組織の歴史そのもの」だと考えられることも多く、業務改革を行う必要性を感じていない経営者も少なくありません。

しかし、ビジネス課題の高度化や複雑化に伴って、業務プロセス事態が複雑化しつつあります。ITやAIの発展、破壊的イノベーションの普及、レガシーシステムからの脱却、国が推進する働き方改革など、目まぐるしく変化するビジネス環境への適応を図るためには、既存の業務プロセスから抜け出すことが必要です。

このような課題解決や環境適応を図るために、職務や業務フロー・情報システムの再構築を行う業務改革が必要だとされています。

特に、近年著しく発展している業務のIT化は、業務改革に欠かせない存在です。組織内に散らばっている煩雑なシステムの統一化や企業の基幹業務の統合化を図るシステムの導入で、業務の改革・改善や生産性を高めることができます。

業務改革と業務改善の違い

業務改革と業務改善は混同されやすいワードですが、根本的な意味合いは大きく異なります。業務改革と業務改善の違いを表で比較してみましょう

業務改革 業務改善
アプローチする対象 組織の業務全体または一部のプロセス。広範囲にわたるアプローチが必要。 既存の業務プロセス内にある小範囲の業務であるケースが多い。
規模感 既存の業務プロセスを大きく改変する大規模プロジェクトとなる。年単位の期間を要するケースも。 細々とした業務改善は数日単位で完了することもある。一つ一つの業務改善を1つのプロジェクトとして管理している企業もあり、規模感はまちまち。
持続性 一過性のプロジェクトとなるケースが多い。 PDCAサイクル的に回していくケースが多い。
目的 組織の既存業務プロセス全体を抜本的に改革することで、業務の効率化や生産性の向上を目的とする。 既存の業務プロセスにあるムリ・ムダ・ムラ(3M)を明確化し、改善を加えることで、業務効率アップや従業員満足度アップを目的とする。
情報システムの変化 業務改善において情報システムを改変することは必須。情報システムにおいても抜本的改革を目指す。 必ずしも情報システムの変化を伴うわけではない。
影響の範囲 広範囲にわたる業務改善を行うため、組織内だけでなく取引企業などにも影響が及ぶ場合がある。 一つひとつの業務改善は、手を加えた部門や部署内に止まるが、他部門で業務改善を行った場合は組織の広範囲に影響を及ぼす場合もある。
反対者 反対者や抵抗を示す者が出てくるケースがほとんど。 積極的に反対する者は少ない。

このように、業務改善とは既存の業務プロセスのなかで業務の改善を行うことを言います。対して業務改善は、既存の業務プロセスそのものを再構築するため、業務改善と比較すると影響範囲や規模感が大きくなることが分かるでしょう。

特に、反対者の有無は業務改善と業務改革での大きな違いです。業務改革は広範囲にわたる業務プロセスの再構築を行うため、多くの従業員へ影響を及ぼします。そのため、業務改革に反対する者は少なからず出てくる可能性が高いのです。

業務改革を行う効果とは?

業務改革を行うためには、目的を明確化しなければなりません。目的は組織の抱える課題によっても異なりますが、業務改革を行うことで得られる大きな効果は以下の3つが挙げられます。

  1. 生産効率の向上
  2. 業務本来の目的を果たす
  3. 流動的なビジネス環境への適応

それぞれ詳しく解説していきましょう。

1.生産効率の向上

1つ目は「生産効率の向上」です。

前述した通り、業務改革は組織の業務プロセスや戦略など既存の考え方・やり方を再構築する方法です。今まで煩雑さを感じていた業務上の問題点を改革することで、業務の効率化が図れます。

ここで、業務改革により生産効率の向上に成功した事例を見てみましょう。

製造業C社は、収益の大部分を占めていた中核事業の急激な業績悪化をきっかけに業務改革に取り組みました。具体的な改革として、新たに中期経営計画を策定し、連結経営強化や構造改革への取組みを行う基本戦略を打ち出しました。

特に、組織力強化(社員能力向上の取組み)と業務効率化(全体的な間接業務の効率化を目指し、シェアードサービス会社を設立)に重きをおいて業務改革を進めました。結果として、間接業務の効率化からトータルコストを半減させることに成功しています。

参考:総務省・三菱UFJリサーチ&コンサルティング「民間企業等における効率化方策等(業務改革(BPR))の国の行政組織への導入に関する調査研究」(平成22年3月)

このように、煩雑な業務を一つ一つ改善するのではなく、組織の基盤から変革することで、業務の効率化を図ることが可能です。また、業務の効率化によって企業全体の生産性向上にも良い影響をもたらすことができます。

2.業務本来の目的を果たす

2つ目は「業務本来の目的を果たすこと」です。

業務改革は目先の業務効率化や生産性の向上だけでなく、業務本来の目的を果たすための改革です。業務改革の過程で、業務本来の目的を可視化し、問題を解決することで、組織全体の課題・業務目的の周知を行います。

ここで、業務改革により業務本来の目的を果たすことに成功した事例を見てみましょう。

千葉県松戸市は、市長のマニフェストの1つである「クリスタルな行政の実現」を目指す際、今後5 年間で230 億円の財源不足が生じることが明らかになりました。業務改善は行っていたものの、それだけでは縮小均衡に陥る懸念があったことから業務改革に踏み込みます。

具体的には、 総合計画と財源を併せて検討するためのツールとしてSWOT分析を採用し、全事務事業について棚卸を実施した上で分析を実施。分析に基づいた取り組みと予算を紐付け、廃止する事業のリソースは他の事業に充当することにしました。

結果的に、事業の必要性や方向性を判断、全庁で現状認識・問題意識の共有化、大きな課題の把握をすることに繋がりました。また、毎年度課題を見直す枠組みを導入することにより、財源と全体事業費の整合性や、経済環境の変化に対応する柔軟性の確保に成功した事例です。

参考:総務省・三菱UFJリサーチ&コンサルティング「民間企業等における効率化方策等(業務改革(BPR))の国の行政組織への導入に関する調査研究」(平成22年3月)

3.流動的なビジネス環境への適応

3つ目は「流動的なビジネス環境への適応」です。

冒頭で解説したように、ITやAIの発展、破壊的イノベーションの普及、レガシーシステムからの脱却、国の推進する働き方改革など、ビジネス環境は目まぐるしく変化しています。そして、企業は変化するビジネス環境に適応していかねばなりません。業務改善など小範囲の修正では変化が難しい組織の場合は、根本的な業務プロセスの見直しが必要です。

ここで、業務改革により流動的なビジネス環境への適応に成功した事例を見てみましょう。

サイボウズ株式会社は2005年に離職率28%という最悪の状況に直面していました。離職の原因は人それぞれでしたが、長時間労働があたりまえだという、ブラックな働き方や組織の風土が大きな原因だと推測しました。そこで2007年以降「選択型人事制度」を導入し、働き方を大きく改変します。さらに社員の満足度向上を目指し2018年には新たな人事制度「働き方宣言制度」を導入。2020年には、離職率を3%にすることに成功した事例です。

参考:サイボウズが最近はじめた新しい「働き方制度」について聞いてみた | サイボウズ式

ワークスタイル | サイボウズ株式会社

時代の流れによって労働者のライフスタイルも大きく変化しています。流動的なビジネス環境へ適応することが、人材確保や生産効率の向上に繋がっているのです。そのためには、業務改革を上手く取り入れていく必要があります。