『プロセスマイニング活用入門(松尾順)』書評。一番やさしいプロセスマイニング入門書

プロセスマイニングの3つのアプローチを知る

著者によると、プロセスマイニングには3つのアプローチ(上図)があります。

  1. プロセス発見
  2. 適合性検査
  3. プロセス強化

これらについて、ひとつずつ解説します。

1.プロセス発見

プロセス発見はプロセスマイニングの土台となる手法。これまでプロセスモデルの作成は、ドキュメントやヒアリング、ワークショップなどを通じてコンサルタント等が手作業で行っていました。

プロセスマイニングでは、ERPやCRMなどのソフトウェアシステムが残すイベントログに基づいて、プロセスモデルをフローチャートで自動的に生み出します。

プロセス発見のアプローチでは、主に3つの視点から分析を行います。

  • 頻度分析
  • パフォーマンス分析
  • バリアント分析

頻度分析は、各アクティビティにおける処理件数と移行件数に着目します。これによって、繰り返し業務の発生や処理負荷の高い業務を特定します。

パフォーマンス分析は、処理時間と待ち時間を知ることでプロセスのスループット(総所要時間)を短縮することを目的にしています。

バリアント分析は、プロセスのパターンとその案件(ケース)数を分析することで、現状のプロセスの改善点を発見するアプローチです。

2.適合性検査

適合性検査では、理想の業務プロセス(To-Be)と現状の業務プロセス(As-Is)を比較・分析します。ここでするべきことはふたつあります。

  • To-Beプロセス(ハッピープロセスとも)を設定・抽出する
  • To-Beプロセスに対するAs-Isプロセスの逸脱を検出する

適合性検査を実施するためには、To-Beプロセスが必要です。もしドキュメントなどに理想となるTo-Beプロセスがある場合は、それをプロセスマイニングツールにアップロードします。

あるいは、プロセスマイニングで可視化したバリアントに理想となるTo-Beプロセスがある場合は、それを抽出して整形した後にプロセスマイニングツールに設定します。

To-BeプロセスとAs-Isプロセスを比較・分析することで検出できる逸脱にはふたつのパターンがあります。

  1. To-Beプロセスに含まれない手順を実行している
  2. To-Beプロセスに含まれている手順を実行していない

1の場合は完全に逸脱をなくすことはできなくても、その手順の頻度を少なくするだけで一定の効果があります。

2の場合は「現場の判断でするべき手順を省略している」または「完全手作業なためプロセスマイニングツールが検出できない」ときなどに逸脱が見られます。

こちらも1と同じように可能な限り対処していく必要があるでしょう。

3.プロセス強化

プロセス強化について、下図にまとめました。

図のようにプロセス強化では、プロセス発見と適合性検査により発見・抽出された課題を分析して、マニュアル開発やプロセス変革、RPA導入による自動化などの対策を実行します。実行した施策の効果は、プロセスマイニングツールを活用してモニタリングすることが可能です。

例えば、プロセスマイニングツールの中にはRPAをあるプロセスに導入したら、どのくらいの効果が期待できるかシミュレーションする機能を持つものもあります。プロセスマイニングツールを比較・検討する上では、それらの機能が実装されているかを確認するといいでしょう。