2019年頃から、業務改革の効果を最大化するための手段のひとつとして、「プロセスマイニング」が国内で注目を集めています。その背景には、製品・サービスや顧客との関係性による差別化が難しくなっていることがあります。
一方、企業が時間をかけて積み上げてきた業務プロセス(オペレーション)は、他社がすぐに真似することは難しく、投資して改善する価値があります。よって、業務プロセスを「属人的」ではなく「科学的」な方法で分析するプロセスマイニングが、存在感を増しています。
本記事では、プロセスマイニングの基本的な概要や利点だけではなく、どのようなフローでプロセスマイニングが実行されるのかを明らかにします。
【この記事でわかること】
- プロセスマイニングとは?
- プロセスマイニング活用のメリット
- プロセスマイニングを活用した業務フロー
- おすすめのプロセスマイニングツール
プロセスマイニングをよく耳にするけれども、その実体や代表的なツールに関してはよく知らない方は、プロセスマイニングの解像度が上がるはずです。
プロセスマイニングとは
プロセスマイニングは、業務プロセスを「可視化」する分析手法のひとつです。これまで、業務プロセスを把握するには、ヒアリングやワークショップ、観察調査などが中心であるため、主観的かつ属人的なものが多くありました。
※観察調査… 現場へ行き対象を観察するデータ収集法のひとつ
これに対して、プロセスマイニングは、業務システムが記録する「イベントログ(トランザクションデータ)」をアルゴリズムにより分析する客観的かつ科学的な方法です。
プロセスマイニングについて詳しくは以下の記事を参考にしてください。
業務改革にプロセスマイニングを活用するメリット
ここでは、プロセスマイニングを活用した業務改革のメリットを3点解説します。
- 業務可視化にかかるコストを削減できる
- ファクトベースでシステム投資ができる
- 業務プロセス改善のサイクルを短くできる
それぞれ順番に見ていきましょう。
1.業務可視化にかかるコストを削減できる
プロセスマイニングは、業務を可視化するために必要な費用と工数を大幅に削減できます。
一般的に、業務可視化はコンサルタントに依頼すること多いです。ところが、コンサルタント1人あたりには月100万円以上の報酬が必要となるため、多額の費用がかかります。また、これまでの業務可視化は数ヶ月〜半年ほどの工数がかかってしまいます。
ところがプロセスマイニングを導入すると、業務可視化はイベントログに基づき自動的に実行されるため、費用を削減できます。また、プロセスマイニングによる業務可視化は1週間〜1ヶ月ほどの期間で完了する場合が多く、工数を削減できます。
2.ファクトベースでシステム投資ができる
プロセスマイニングでは、業務プロセスのボトルネックを定量的に把握できるため、新しいシステムに投資するときにファクトに基づいて導入効果を検証できます。例えばRPA(Robotic Process Automation)を比較・検討したいとき、どのくらいのコスト削減を実現できるのか、事前に予測することが可能です。
さまざまな業務改革のソリューションが乱立する昨今、自社のニーズに合うツールを見つけることは難しくなりました。プロセスマイニングを活用して、ファクトベースの意志決定をすることで、効果を最大化するシステム投資を実現できるでしょう。
3.業務プロセス改善のサイクルを短くできる
プロセスマイニングを活用すると、業務プロセス改善のPDCAを早く回すことができます。
従来の業務改革では、人間主体のヒアリングやワークショップ、観察調査などの方法で業務プロセスを分析していました。観察調査では、ストップウォッチで業務のスループットを数時間、計測することもあり、時間がかかる上にサンプル調査しかできません。
一方、プロセスマイニングでは、ITシステムのイベントログに基づき高速かつ正確に業務プロセスを把握できます。すると改善すべき業務プロセスが明確になり、打ち手に対する効果もリアルタイムに検証できるため、業務プロセス改善のPDCAを自動化してサイクルを短縮化します。
- 1
- 2