プロセスマイニングとは?5分でわかる徹底解説

業務改革コンサルタントの与田です。今回は近年注目され始めているプロセスマイニングとはどのようなものか?導入するメリット・デメリットなどを解説します。

プロセスマイニングとは?

そもそもプロセスマイニング何でしょうか?まずはプロセスマイニングの概要と注目される背景を解説します。

プロセスマイニングとは

プロセスマイニングとは、イベントログに基づいてビジネスプロセスの分析を行なう技術のことです。かみ砕くと、業務で使っているシステムのログを基に業務の可視化や分析を行うツールを指します。

取得するログは

  • SAPやSalesforceなどのメジャーな業務システム固有のイベントログ
  • Windowsのログ
  • マウスやキーボード操作ログ
  • 操作画面のキャプチャ

などがあり、ツールによって収集するログや可視化できる項目が異なります。

また、特定業務のワークフローを可視化するものを「プロセスマイニング」全体の業務量を可視化するものを「タスクマイニング」と分類する場合もありますが、プロセスマイニングラボではどちらもプロセスマイニングと定義して解説します。

プロセスマイニングが期待される背景

もともとプロセスマイニングは2010年代はじめからドイツを中心に広がりました。欧州企業ではSAPなどのERPを活用しているケースが多いため、プロセスマイニングで固有のイベントログを収集し最適な業務フローを導き出すためのツールとして活用されています。

日本でも近年RPAをはじめとした業務自動化の盛り上がりとともにプロセスマイニングにもスポットライトが浴びようとしています。ひと昔前であれば、業務自動化をするといえばシステム開発くらいしか選択肢がありませんでしたが、現在はRPA・パッケージソフト・SaaSの活用などツールが溢れかえっています。

正しい業務自動化の施策を判断して、システム投資をしていくためには現状の業務を把握することが不可欠です。一方で日本は業務が属人化している割合が多く、自動化以前の業務把握で苦戦することが多々あります。

プロセスマイニングを活用することで、自動化のボトルネックになっていた業務把握を効率よく進めることができます。それによって業務の生産性が飛躍的に向上することが期待されています。

プロセスマイニング出来ること

プロセスマイニングツールによって出来ることは変わりますが、メジャーな機能をご紹介します。

現状の業務可視化

PCやブラウザのログを収集することで、誰が「何を」「どれくらい」やっていのか可視化することができます。どれくらいの粒度で可視化することができるかはツールによって違いますので導入前に検証の必要があります。

従業員を監視するようなツールに似ていますが、データを業務改革に活かすためには「Excelを1日5時間つかっている」というような粒度のデータでは活用できません。「〇〇向けの広告運用レポートExcel作成に毎月2時間使っている」など具体的な業務と改善方法がイメージできるデータを示すことができるプロセスマイニングツールが業務改革に向いています。

現状の業務課題分析

効率化したい特定の業務が見つかった後に、システムのイベントログを収集することによってその業務の手順やリードタイムを詳細に可視化する機能を使うことで業務課題を分析することができます。

例えば、請求書の処理業務を対象とする場合には1月の中で何件の請求書処理をしていて、処理にかかる平均の時間や確認の手順などがフローチャートとして現れます。これをもとに、最適プロセスへの標準化やボトルネックとなっている箇所のシステム化などの施策を考える材料となります。

さらに業務のなかで発生するイレギュラーな対応も網羅的に洗い出すことがでます。例えば「請求書の必要な項目が空欄だったので差し戻しの手順を行う」ことや「緊急対応のため、所定の手順をスキップして入金処理を行うケース」などです。このような場合でもシステム化の際には例外パターンを完璧に要件定義できることも大きなメリットです。

業務改革の効果測定

業務改革はシステム化などの施策を行ったらそれで終わりではなく施策実行によってどのような効果があって、どの箇所ではまだ課題が残っているかを検証し、次の施策実行へと繋げていくサイクルが重要です。

プロセスマイニングを継続的に活用することでこのサイクルを効率的に回すことが可能になります。常に取得している業務ログデータが蓄積される為、施策実行後と実行前で業務の中でどのプロセスにどのような効果があったのか(または無かったのか)をファクトベースで把握することができます。これを人力でヒアリングして調査する場合かなりの労力が必要になります。

このデータをもとに今後どのようなシステム投資が必要か、継続的に業務改革を推進する体制が実現します。

プロセスマイニングメリット/デメリット

プロセスマイニングによって様々な効果があることはわかりましたが、導入の判断はどのようにすればいいのでしょうか?以下に導入のメリットとデメリットを整理しました。

プロセスマイニングのメリット

ファクトベースでシステム投資ができる

少し前までは業務改革の手段としてはシステム化くらいしかありませんでした。

しかし近年RPAや特化型SaaSなどが急増し、業務改革の為の施策の選択肢は膨大になっています。

ここで現状を把握せずになんとなくでシステム投資をしていては自社にあった最適なソリューションを選ぶことができません。

プロセスマイニングを活用することでまずは自社の業務課題を認識し、それにあった最適なソリューションをファクトベースで選択していくことが可能になります。

業務可視化にかけていたコストを削減できる

業務を自動化するプロジェクトを行う際に最も時間がかかる工数は開発ではなく、要件定義のフェーズです。仮に業務コンサルタントに依頼して業務の可視化から分析・要件定義まで行った場合、コンサル1人あたり月100万円以上の報酬が必要となるため非常にコストがかかってしまいます。

そのため、今までコンサルに依頼して可視化を行っていた企業はプロセスマイニングを活用することで圧倒的に低コストかつ抜け漏れのない業務可視化を実現することができます。

プロセスマイニングのデメリット

プロセスマイニングを行うことによって発生するデメリットは基本的に起こり得ません。ただ気になるのはコスト面かと思います。

プロセスマイニング導入にかかるコスト

ツールのライセンス費用

まず、プロセスマイニングツールのライセンス費用がかかります。

料金はツールによって様々ですが、月数万円から使えるものから数百万円のものまであります。自社の用途や規模にあわせてツール選定を行うことが必要となります。

データ連携などの工数

導入の際には各種システムとのデータ連携やデータの定義づけなど多くの工数が必要になります。そのため導入には初期費用がかかるものが多く、数十万~数百万円のレンジとなっています。

プロセスマイニング導入の費用対効果

それでは、プロセスマイニング導入の費用対効果はどのように計測するのが良いのでしょうか?

プロセスマイニングは可視化を行うツールですが、目的を伴わない可視化ほど意味の無いものはありません。プロセスマイニングによってもたらされた業務改革の施策こそが価値となります。

導入トライアルや継続判断をする際にはプロセスマイニングによってどれほどの施策が生まれているか、費用対効果を見る為のポイントとなります。