社内RPA導入を成功させたDX担当者が語る業務改善成功の秘訣【ディップ株式会社】

ITの浸透によりビジネス環境が大きく変化している背景から、業務の改善や効率化に取り組む企業は増えています。しかし、業務改善が必要だと理解はしていても、その方法選択や実際の導入にハードルを感じるケースも少なくありません。

「業務改善をしたいけど、やり方がわからない」
「なにを効率化すればいいのかわからない」
このような悩みを抱えている企業も多いでしょう。

なかでも、デジタル技術の活用やDXは業務改善を行う上で切り離せない要素です。

今回の記事では、

  • DXが分からない
  • 実際の効果や事例を知りたい
  • 導入を検討している

というビジネスパーソンに向けて、ディップ株式会社でDX推進を行う小林 香織さんに業務改善の方法や課題について伺いました。

プロフィール

小林 香織(こばやし かおり)さん
ディップ株式会社/dip RoboticsPdM課 リーダー
営業支援システム・販売管理システムなどの企画・PM(プロジェクトマネージャー)

前職は事業開発企業のシステム部門でSEとして経験を積み、2018年にディップ株式会社へ中途入社。商品開発本部 次世代事業統括部 dip RoboticsPdM課のリーダーとして、DXプロジェクトを推進。プロジェクトの一環として、電子認証システム(SAAF)やRPAの導入を成功に導いた。

業務改善とは本来するべき仕事に時間を割けるようにすること

ーーまずはじめに、業務改善に注目した背景を教えてください。

弊社では業務を可視化し、「本来するべき仕事に時間を割けるようにする」ことが、業務改善を行う上での課題点でした。コンピューター上でのルーティン業務が多い点もあり、課題解決の方法としてRPAを導入することになったんです。

まずは、社内でRPAを導入できそうな箇所に積極的にアプローチしていこうと、RPAの推進チームが発足しました。業務改善や業務整理で課題を洗い出して、小さなところからどんどん自動化していこう、という動きが背景にあります。

ーー小林さん自身が業務改善に着目していたポイントはありますか?

私自身の話をすると、とてもせっかちな性格で……。効率性や業務改善について常に考えていました。例えば、ご飯やお味噌汁がコース料理のように時間差で出てくるのって嫌じゃないですか。私の場合は、いかに温かくて美味しい料理を同時に食べてもらえるかを気にしながら生活をしているんです。

業務改善も同じ考え方で、ユーザーのかゆい所に手が届くようなシステムを作れるように深掘りしていきます。私自身が効率性を重視する性格も業務改善に活かせるのは特権だと思っていますね。

業務改善の手段としてRPAを導入

ーーRPAの導入で意識していたことを教えてください。

業務の本質を考えることを意識しています。「その業務ってそもそも何のためにやっているんだっけ?」「何ができあがればいいんだっけ?」という視点で業務自体の見直しをすることで、「この業務って本当に必要?」「結果的にどうなれば最高なの?」というところまで落とし込むことができます。

特に、RPAを導入する場合、実務は全てチェックしています。手順書がある場合は、そのプロセスのなかで改善点を洗い出したりもしますが、改善点を見つけるには業務を可視化することが非常に大切なんです。そのため、実務を知り、本質を考えた上でシステム構築に着手しています。

ーーどのようなプロジェクト体制で導入を進めたのでしょうか。

弊社では各部署にRPA推進担当を立て、各部署内で完結できそうな部分は担当にお任せしています。RPAのプロジェクトチームはあくまでもサポートメインのイメージです。ですが、高難易度なシステムやクリティカルな仕事、初回の着手に関しては一緒に作りはじめることもありますね。

プロジェクトチームと各部署の推進担当、さらに推進担当同士もコミュニケーションツールのなかで繋がっています。実際に業務を行うのは各部署の社員なので、現場の実務を詳細に理解している担当を各部署に立てる方が、より業務改善に活かせるRPA導入ができると考えた上での体制です。

手作業や複数のツール・ロボットによるハイブリッド型業務改善

ーー業務改善を行う上でつまずいたことはあるのでしょうか。

どんなにすごいシステムでも、実際は業務内容や業務を行う社員の感覚にフィットしなければ上手く使いこなすことはできませんし、RPAも同じです。「RPAは色々なことができる神みたいな存在」だと思う方も多いですが、あくまでも人間が行なっている作業を代行させたり、手順が面倒くさいものを自動化させたりするツールにすぎません。

それを理解するまでに私自身も時間がかかりましたし、「なんでこの動きができないの!?」と悩んだ時期もありました。RPAを使っているのに転んでしまうのはなぜだろうと、何度も何度もつまづきましたね……。もちろん、その事実を現場の社員に理解してもらうのも大変でした。

ーーRPAの導入によって浮かび上がってきた課題点はありますか?

現場の社員にマッチしたシステム構築をもう少し追求するべきだったかな……と思っています。

業務のステップを洗い出したり、業務のボリュームを考えたりして業務改善のためにRPAを導入していますが、“ユーザーがそのシステムをどんな気持ちで使っているのか”が漏れると現場にフィットしないシステムが出来上がってしまうんです。

手順書を見た上で最適なRPAを使っても、結果的に実務を行う現場の社員の気持ちを考慮しないで作ってしまうと満足度が低いシステムになります。現場の声をより詳しくヒアリングする点は課題だと感じました。

人間が行なっている作業は単純に見えて単純ではありません。その人が鬱陶しいと感じている業務は「具体的にどのタイミングのどの部分が鬱陶しいのか」を明確にして、かゆい所に手が届くようなシステムを構築する必要性があるんです。

より、社員の満足度を高めるためにも、弊社では「ハイブリッド」を意識して業務改善を行なっています。

ーーハイブリッドとはどういうことでしょうか。

例えば、「何かを入力して、紙を印刷して、封筒に入れて、郵送する」という一連の業務があったとします。ロボットにはできる業務とできない業務があるので、この一連業務を全てRPA化することは不可能です。

ですが、その前後の作業だけでもRPA化すれば、好きなタイミングでその業務を始められたり、心理的な負荷を軽減させることは可能です。私たちは、全ての作業にロボットを導入したいのではなく、ツールやロボットの適正を考えた上で手作業とツールのどちらも活用する、ハイブリッドな業務改善が必要だと考えています。

1つのツールやロボットに囚われず、「ここはVBAで、ここはGASでやった方が良いよね」「その後はロボットを使った方が良いよね」とハイブリッドを意識していますね。

RPA導入による業務改善の結果、負荷軽減やシナジー効果を発揮

ーーRPA導入などの業務改善を行なった効果はいかがでしたか。

やはり定量的な業務負荷や、それに必要な作業時間の負荷が軽減されたことが大きかったです。本来その人がするべき業務に時間が割けるようになった効果ですね。

また、確認が必要な業務が大きく減ったことで、心理的な負荷の削減にもつながっていると思います。実際に、午前中に必ず行わなければいけない作業があった社員が午前休を取れるようになった事例もありました。

ーー小林さん自身はRPA導入の変化をどのように感じましたか?

最初にお話ししたように、私はせっかちな性格なので、効率的な業務につながってラッキーだと感じました。また、RPAを導入するにあたって業務を可視化することができたので、各部署がどの程度の業務量を抱えているのかが理解できるようになったのは、私にとっても会社にとっても大きいと思います。

私自身もRPA導入を専任しているわけではありません。通常の業務も抱えているなかで新たな課題解決や企画を生み出すことができたことはRPA導入に伴う効果かなと思います。他部署でRPAを導入した業務を見て、「うちもここRPA使いたいです」とシナジーまで生まれて、一石二鳥な取り組みだったのではないでしょうか。

ーー自社に合った業務改善の方法を見つけるコツを教えてください。

私のポリシーとしてのお話になってしまいますが、実際に業務で困っている点や煩わしく思っている点に対して「その人がどんな気持ちでいるのか」を深く理解するようにしています。

プロセス自体が嫌なら業務自体を変えればいいですし、業務をなくすことも業務改善の1つだと私は思います。自社に限らず、先輩や前任から引き継いだ根拠のない手順に淡々と従っている方も多いですが、本来の業務目的を見失っている場合も少なくありません。

なんのための業務で結果どうなっていれば良いのかを理解できれば、自社にあった業務改善を行うことができるのではないでしょうか。

業務改善を希望する方がハッピーになる結果を理解し、サポートすることが大切です。

まとめ:現場にフィットする業務改善が必要

RPAの導入は業務改善を行う上でのカードの1枚にすぎないと話す小林さん。今後もハイブリッド型思考のなかで、現場にフィットするツールを積極的に導入したいと考えているそうです。

今回伺ったお話の中でもあったように、自社に合った業務改善を取り入れるためには業務プロセス自体を定量的に可視化しなければなりません。そのためにおすすめしているのが、プロセスマイニングの導入です。プロセスマイニングを活用すれば、業務改善すべきポイントを可視化することができます。

 

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