【2022年上半期】注目すべき業務改革トレンド|これから来るIT技術予測も

今後のトレンド予測|注目したいIT技術

ここからは、トレンドまではいかないまでも、徐々に検索数が増えてきているキーワードを4つ見ていきましょう。

いままでトレンドに上がっていたツール・概念とは別の観点で業務改革に役立つものや、既存のツール・概念から時代の変化に合わせて進化している技術などをご紹介します。いずれも「ウィズコロナ」の時代におけるDXを進めるにあたって知っておくべき重要なキーワードになっています。

プロセスマイニング

プロセスマイニングとは、企業において従業員が行うさまざまな業務活動のログを取得・分析して業務プロセスを可視化し、現状を把握することで業務改革に活用する手法です。

例えばDX(デジタル・トランスフォーメーション)を推進するにあたって、まずは現状の業務において何の作業に時間がかかっているのか、業務プロセス全体のボトルネックは何なのかを明確にする必要があります。プロセスマイニングを導入すると、業務が可視化され、ボトルネックをあぶり出せます。プロセスマイニングは、DXを進める最初の一歩として非常に適しているのです。

欧州で誕生したプロセスマイニングは海外では既にかなり浸透していますが、日本においてはまだ黎明期といえる状況です。今後、DX推進がさらに加速していく中で、業務改革トレンドとなってくると予測できます。

参考:PROLABO「プロセスマイニング導入に必要なたった1つのこと【プロセスマイニング協会 三ッ森氏インタビュー】」

ハイパーオートメーション

ハイパーオートメーションとは、RPAやAIなど、さまざまな技術や自動化ツールを組み合わせて活用し、複数の業務を連動させて自動化する考え方です。RPAと混同しがちですが、RPAは特定の作業を自動化する仕組みなのに対し、ハイパーオートメーションは自動化の範囲を特定の作業から業務全体へ拡大させます。

例えばデータを収集・分析し、その結果をレポートとして出力する一連の業務の自動化を、複数のツールや技術を組み合わせて用いて実現します。これまで人間の手が必要だった事務的業務をハイパーオートメーションが肩代わりするようになれば、その分人々は創造的な仕事に専念でき、より質の高いアウトプットを創り出せる好循環を生み出せるのです。

ハイパーオートメーションは米ガートナー社が「2020年の戦略的テクノロジ・トレンドのトップ10」でトレンド1位として発表した概念であり、日本においても今後の業務自動化における新たなトレンドとなるでしょう。

参考:Gartner「ガートナー、2020年の戦略的テクノロジ・トレンドのトップ10を発表」

ポストモダンERP

ERP(Enterprise Resource Planning)とは、企業内に散在している情報を1ヵ所に集め、スピーディーな経営戦略を可能とする手法です。ポストモダンERPは従来のERPとは異なり「非統一型」「柔軟性」を持っています。すべての業務をひとつのパッケージに統合しないので、より柔軟な業務の管理を可能とします。

従来のERPは業務がひとつに統合されているので、自社サーバで運用する大がかりなシステムとなっており、運用・保守に多くのコストがかかっていました。ポストモダンERPでは複数のシステムやサービスを疎結合(システムの構成要素間の結びつきが低く、各々の独立性が高い状態)に組み合わせたシステムになります。例えば「会計」や「在庫管理」など個々の機能が別々のサービス、パッケージになっています。機能が別個になっているので、システムの運用・保守もそのサービス、パッケージ単位で行えば良いのです。

ポストモダンERPは各領域で得意とされるシステムを採用し、APIを利用してデータの相互連携が可能になります。従来のERPと比較してコスト面で優れているだけでなく、より良いサービスをより早く自社に取り込めるため、企業のDX推進にも非常に役立つでしょう。

参考:NRIジャーナル「今求められるポストモダンERPの導入 ~進化するERPと日本企業の課題~」

ローカル5Gとプライベート5G(5G SA)

5G(第5世代移動通信システム)の日本におけるサービスが開始して約2年、最近は5Gの活用範囲がスマートフォンからスマート農業、遠隔医療、自動運転などに拡大しています。ここでは「ローカル5G」と「プライベート5G(5G SA:Stand Alone)」の違いを解説します。

ローカル5G

ローカル5Gとは、通信キャリア各社が一般向けに提供している5G通信網ではなく、企業や自治体等が占有でき、ニーズに合わせた環境構築を実現します。自らの建物内や敷地内といった特定のエリアで自営の5Gネットワークを構築・運用・利用できるのです。

要するに専用回線なので、通常の5Gと比較して「整備が自由自在」「外部ネットワーク遮断による高いセキュリティー性」などのメリットが挙げられます。また5Gの低遅延化や多数同時接続などの特長により、工場における導入機器やロボットなどの動きや映像が途切れないため、スマート工場化の促進も期待できます。

富士通は『鹿児島お茶ローカル5Gプロジェクト』にて農機の遠隔制御と茶畑のドローン撮影データの高速伝送をローカル5Gによって実現し、製茶の生産性向上と省人化・軽労化を目指す実証実験を成功させています。いままで業務改革の推進が遅れていた農業や工業、建設業における業務改革トレンドとして注目を集めていくと予想しています。

参考:富士通「鹿児島で進む「スマート農業」への取り組み」

プライベート5G(5G SA:Stand Alone)

プライベート5Gとは、通信キャリア各社が一般向けに提供している5G通信網を仮想的に分割し、企業向けとして限定的に使えるようにするものです。

いままで通信キャリア各社が提供していた5Gは「5G NSA(Non-Stand Alone)」方式と呼ばれています。5G NSA方式は4Gとセットでないと稼働できないシステム構成でした。これに対して「5G SA(Stand Alone)」方式は端末制御も5G基地局で行なうため、5G NSA方式と比較してデータの遅延時間が短くなり、より安定的に通信ができるなど、5Gのメリットをフルに活かせるようになります。

ソフトバンクは静岡県や掛川市、東急と共に5G SA方式を活用した遠隔型自動運転(自動運転車両を遠隔地から監視・操縦を行う)の実証実験を、2021年12月に掛川市で実施しました。ほかの通信キャリア各社も5G SA方式のサービス開始を進めており、サービスの浸透によって2022年下半期以降にはトレンドに上がってくると予想しています。

参考:ITmedia ビジネスオンライン「これが“真の5G”? 携帯電話キャリアが始めた「5G SA」とは:房野麻子の「モバイルチェック」」

参考:ソフトバンク「5G SAによる映像伝送を活用した遠隔型自動運転の実証実験を掛川市で実施」