10年後に「なくなること」と「なくならないこと」の違いとは
――オフィス業務はどうなると思いますか?また、営業事務はどうなっていくと思いますか?
与田:
オフィス業務の代表で挙げられる税理の仕事は10年後なくなると言われますが、税理士は10年後も残っていると思うんですよね。国が関係して、ルールが変わる仕事はなくならないかなと。
皆川:
主語を日本にするのか、世界にするのかで、生き残る仕事の見え方が違うような気がします。
たとえば日本でタクシードライバーが生き残れる理由は、法律で禁止されているため白タク(個人でタクシー業をすること)ができないからですよね。しかし、世界だとタクシードライバーはUberなどのサービスが台頭してなくなる可能性があります。だから、世界規模で見れば税理士の仕事も何かに置き換わる可能性もあるなと。
――10年後の労務はどうなると思いますか?
与田:
労務専門でサービスを提供する会社が出てきそうですよね。労務には入退社対応や社会保険の手続きをはじめ、労務関係のルールが頻繁に変わるなど、社労士の仕事は非常に多くて流動的だからです。
皆川:
今後個人事業主の割合が増えたら、労務手続きに大きな変化が起きそうですよね。
そんな個人事業主の増加は、新型コロナや南海トラフ地震のような大きな災害が起きると大きく影響を受けると思います。数年前の新型コロナウィルスの影響がなければ、大企業に属していることで「リスクがなく安心」という考えがありました。
しかし、疫病や大地震のように生死に関わる災害が起こると、会社に頼っているだけでは生きていけないのではないかと、疑問を持つと思うのです。そんな大きな災害によって、働き方で大きなパラダイムシフトが起こるのではないでしょうか。南海トラフ地震は、今後起きると予想される一番身近なアクシデントのひとつなので、何年後かはわかりませんが大きな変化につながると思っています。
与田:
働き方でいうと、終身雇用がだんだんとなくなっていく気がします。終身雇用は40年間、企業の成長が続く前提の雇用モデルです。しかし、現代は高度成長期が終わって年月も経ち、経済成長が止まってしまっている。時代に合わない雇用形態ですよね。
10年後のオフィスは、多様性を持ち一人ひとりに合わせて作られるべき
――ここ数年、コロナ禍でリモートワークが格段に進みましたよね。10年後のオフィス業務は、リモートワークと出社どちらが主流になると思いますか?
皆川:
リモートワークか出社かは、状況に応じて選べる適切なハイブリッド型であってほしいと願っています。
例えば、1度も対面で会ったことがないとスムーズに仕事を進めるのが難しいとも思っていて。だから、1回目はオフィスで集まり、2回目以降はオンラインで仕事を進めるなど、状況や会社に合った形になると良いと思います。
――ハイブリッド型のリモートワークができる職種は何があると思いますか?
与田:
不動産関係、ソフトウェアやゲーム関係などですね。人を繫げる職種、人材紹介などもハイブリット型のリモートワークはできると思います。
皆川:
それらの企業にリモートワークを導入していくにあたっては、社員の感情も大事ですよね。会社は成果を出してお給料を得るだけでなく、所属意識やコミュニティ機能も大切だと思っていて。
でも、会社にはさまざまなタイプの人が存在します。会社にはコミュニティ機能が不要だと感じる人もいれば、会社が居場所として必須条件と感じる人もいる。そのため、将来的には会社の多様性が豊かにならないと、大きな規模の組織にはなれないように感じます。
――そんなハイブリット型やリモートワークが進んだとき、オフィスはどのように変化していると思いますか?
与田:
PLAYもそうですが、主流になるのは会議室のみのオフィスだと思います。
皆川:
私も同じ考えで、ひとりもくもくと仕事をするタイプの人は家で仕事ができるため、オフィスには会議室があれば十分だと考えます。
みんなで和気藹々と仕事をして、仕事後に飲み会に行きたい人はオフィスに来る。そうでない人は、リモートで仕事をする。オフィスは、一人ひとりに合わせて選べる場所であるべきだと思いますね。
――そうですね。オフィス自体が会議をする、または集まる場所になって、作業をする場所ではなくなるかもしれませんね。個人のデスクがあるオフィスはなくなりそうですね。
皆川:
現在はメタバースが話題になっている世の中ですが、社員の感情に合わせて、オフィスや仕事環境を柔軟に合わせることが大切だと思っています。例えば、メタバースの世界のVRゴーグルが進化して、メガネになり、当たり前に仕事上で使われるようになったとしましょう。
その時に「メガネをかけるのが嫌だ」という人に無理やりメガネをかけさせるのではなく、「早くメガネをかけてみんなと一緒に働きたい」と思わせるカルチャー作りが大切になります。
与田:
たしかに。各企業が多様性を持ち、一人ひとりに寄り添って、オフィスやカルチャーを作るべきですよね。まずは、PLAYが自ら体現していきます。
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