プロセスマイニングを正しく使えば、業務改革や業務可視化への効果は絶大です。
一方で、プロセスマイニングは一歩間違えると導入することがかえって逆効果となる場合があります。プロセスマイニングをしっかり理解できていない、導入することが目的になってしまっているなどがその例です。また、導入がうまくいかないと大きなコストの損失となってしまうこともあります。
そこで今回は、正しいプロセスマイニング導入のために、想定されるデメリットと対応策をご紹介します。
今回の記事で挙げていくプロセスマイニングのデメリットは、理解して対策ができれば回避できるものがほとんどです。
プロセスマイニングのデメリットを見て「導入できないな……」と諦めるのではなくて、プロセスマイニングの導入を成功させるための改善策を見つける手段として利用していただけたら嬉しいです。
プロセスマイニングの4つのデメリット
- プロセスマイニングの導入費用が高い
- 導入の障壁が高い
- すぐに効果が出にくい
- プロセスマイニング自体の費用対効果の計測が困難
プロセスマイニングは効果が大きいゆえ、デメリットがあることも特徴のひとつです。
しかしプロセスマイニングのデメリットは、しっかりと対策をすればほとんどの場合が導入中に問題となることはありません。
導入する直前や、導入中に支障が出ないようにするためにも、しっかりとプロセスマイニングのデメリットと対応策を把握しましょう。
デメリット1.プロセスマイニングの導入費用が高い
プロセスマイニングは、導入する際のコストが高いことがデメリットのひとつとして挙げられます。
「プロセスマイニングを導入しようと思ったが、コストが高いのでやめてしまった」
「コストが高いので、上層部や経営層にプロセスマイニングの必要性を説得できなかった」
と、コスト面が課題となる企業も多いです。はじめに、プロセスマイニングの導入費用について解説していきます。
費用が高い?プロセスマイニングの価格相場
価格相場としては以下のような価格感になります。
- 有効性検証のためのPoC(Proof of Concept):数十万〜数百万円程度
- 本格導入:数百万〜数千万円程度
一見、価格だけ見ると「費用が高い」と思うかもしれません。コスト面がネックになり、会社の承認を得ることが難しい、業務改革プロジェクトが上手く進まないなど、悩みを抱える担当者も多いのが現状です。
しかし、プロセスマイニングを導入・業務改善を行えば、業務時間の削減・全体的な人件費や工数を削減でき、得られる費用対効果は絶大です。
プロセスマイニングは可視化に留まらない!自動化・業務改善に必要なプロセス
プロセスマイニングは単なる可視化の手段ではなく「自動化プロジェクトのプロセスの1つ」ととらえると、必要な予算だと言えます。
RPAなどの業務自動化ツールの導入相場が安くないことは、ご存知の方も多いでしょう。RPAを使って1つの業務を自動化しようとすると、数百万円ほどの予算が必要になることもあります。しかし、その自動化する業務が適切でないと、費用対効果は下がってしまい、せっかく書けた費用が無駄になることも。
プロセスマイニングは、業務可視化を自動で正確に行なってくれるツールです。そのため、プロセスマイニングは自動化のうちのひとつと考えたら、この価格相場も妥当だと言えます。
プロセスマイニングは導入後の効果を提示するのが難しい?
また、プロセスマイニングは導入効果を明確に提示することが難しく費用対効果がわかりづらいことも、コスト面が懸念になる理由のひとつです。
自動化ツールだったら、導入したらどのような効果が出るのか事前に知ることができます。また、業務を自動化したい目的が明確になっていることが前提のため、どのような成果が出るのか事前にイメージが湧きやすいのです。
一方で、プロセスマイニングではコスト削減のほかに、業務改善案の施策提案として導入されることが多いです。結果、プロセスマイニングの成果は業務改善案の施策になるため、目的を達成するまでは“成果”を提示するのが難しいのです。
では、どうすればコストに関する課題を解決できるのでしょうか?
プロセスマイニングのデメリットの1つであるコスト問題の対策について解説していきます。
コスト問題に対する対応策
1.導入目的を明確にする
他の記事でも解説していますが、プロセスマイニングで大切なのは「目的設定」です。コスト問題においても同様に、まずはプロセスマイニングを導入する目的を明確にすることで、費用対効果の見込みや上層部の説得もしやすくなり、業務改革プロジェクトにも効果的です。
プロセスマイニングのコストが高いと思う多くの方が、目的設定が曖昧なまま導入しようとしてしまっていることが多いです。
業務改善のプロジェクト自体、何年も受け継がれてきた会社の業務システムを見直すので、そう簡単に変えられるものではありません。
そのため、短期的な目標を設定してしまうと、プロセスマイニングのコストが高いと感じやすいです。目的設定が短期的なものだと改善できる業務にも限界があるため、費用対効果が見込めないと感じるためです。
目的設定はプロセスマイニングや業務改善の成功において最も大切なポイントといえます。プロセスマイニングなどの高価なツールを導入する際に、目的設定だけはプロにお願いしたり、サポートを頼むのも対策のひとつです。
2.目的に見合ったツールを選定する
スマイリングのコストは高いと言いましたが、正直ツールによって様々です。数百10,000円するツールもあれば、100,000円ほどで購入できてしまうツールもあります。
プロセスマイニングを導入する際には、業務改善にあたり目的があると思いますが、社内や組織での目的に見合ったツールを導入することも大切です。特にコストを気にする方の場合は、実績は少なくても価格が安いものでとりあえず試してみると言うのも良いでしょう。
逆に、多少コストがかかっても確実に業務改善を成功させたいと思う方は、実績の多いツールを使った方が安心できると思います。
このように目的に見合ったツールを導入することで、多少なりともコスト面でのデメリットは改善されるように思います。
3.スモールスタートで行う
その他にも、コストを気にされる方はスモールスタートから始めていくのがお勧めです。いきなり社内全体で導入したり、多くの業務を可視化するのではなくて、まずは小さな業務から可視化をして、確実に効果が出ることがわかったら導入を全社に広めていくのが良いでしょう。
いきなり全社展開しようと言うチャレンジャーな方は少ないと思いますが、長く付き合うべきツールだからこそ自分たちの目でしっかりと見極める必要があると思います。
プロセスマイニングは、コストだけで判断すると確かに高いように感じますが、見方を変えると導入しやすくなるように感じると思います。ツール自体の価格を下げることはできませんが、プロセスマイニングの価値を上げるのも下げるのも私たちなのです。
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