わかりやすく整備されたマニュアルは、業務の効率化や生産性アップに欠かせない要素です。企業の規模が拡大したり従業員が増えたりするほど、初めて見ただけでも内容を理解できるようなマニュアルが求められます。さらにマニュアルを作成するコストもカットできれば、チームの生産性はより向上していくでしょう。
今回は、マニュアル作成ツールの意味や導入するメリット、おすすめのマニュアル作成ツールをご紹介します。企業やチームのビジョンや環境と照らし合わせながら、適切なマニュアル作成ツールを取り入れていきましょう。
マニュアル作成ツールとは|マニュアルを作成・管理できるソフトウェア
マニュアル作成ツールとは、マニュアルを簡単に作成・管理できるソフトウェアを指します。現在多くの企業ではパソコンでマニュアルを作成しています。完成したマニュアルは拡張子を整えて社内に送信するか、紙に印刷して共有しているケースがほとんどです。
しかしマニュアル作成では、企業や部署によっては多くのコストが発生します。例えば、まとめるべき手順が複雑だったり、情報が多すぎて視認性が悪くなったりすることがあります。また作成者によってマニュアルの質に揺らぎが生じてしまうことも課題といえるでしょう。
よりわかりやすいマニュアルを作成するために取り入れたい方法が、マニュアル作成ツールの導入です。マニュアル作成ツールでは作成手順が簡略化されるだけではなく、作り手のスキルをほぼ選ばずに視認性の高いマニュアルを作成できます。
マニュアル作成ツールが利用される理由
すべての企業の共通の課題の一つが、業務効率化です。マニュアル作成においても同様であり、作成にかかる時間や費用を削減することで企業全体の生産性も上がります。またテンプレートを活用することで、マニュアルを必要とする対象の理解度も高まり、業務のサイクルがさらに早まります。
マニュアル作成ツールでは、スペルチェック・文法チェック・一貫性チェックなどの機能が自動で備わっていることが一般的です。統一された書式や内容を維持しやすいため、読み手が混乱しにくく完成度の高いマニュアルが作成できるでしょう。
マニュアル作成ツールのメリット3つ
ここでは、マニュアル作成ツールを導入する際のメリットを3つご紹介します。この世のすべての業務は人の手や判断によって回っており、適切な判断を行うためには整備されたマニュアルが必要です。
視認性が高いマニュアルを作成するツールは、従業員の働き方や業務への考え方にまで変化を及ぼすでしょう。
1.マニュアルの品質が上がる
マニュアル作成ツールを導入することで、マニュアル自体の品質が上がります。ツールのテンプレートや手順に沿って作成するため、誰が作ってもクオリティに差が出にくいことが特徴です。
ツールはテンプレートの時点から視認性が高く、素人がゼロからフレームをデザインするよりもわかりやすい仕上がりになります。自動チェック機能も備わっているため、正確な文章や手順で反映されます。
2.情報の共有がしやすくなる
情報の共有がしやすくなることも、マニュアル作成ツールのメリットです。例えば、シートやPDFのみでマニュアルのやり取りをしているチームでは、枚数が増えるごとにマニュアルを体系的に捉えにくくなってしまいますよね。
マニュアル作成ツールでは、工数が増えたときにでも内容を検索・発見しやすい工夫が取り入れられています。また従業員ごとに適した情報のみを共有する機能もあるため、ステップを踏みながら理解しやすくなります。
3.教育における負担が減る
マニュアル作成ツールによって完成度が高いマニュアルをつくると、教育における負担が減少するでしょう。マニュアルを読むだけで内容を把握しやすいため、質問の回数が減りコミュニケーションコストが下がります。
マニュアル作成ツールでは、一般的な方法で作成するマニュアルよりも、内容を修正しやすいことが特徴です。業務プロセスがアップデートされるごとにマニュアルも簡単に変更できるため、従業員の理解度もフォローできます。
マニュアル作成ツールのデメリット3つ
ここでは、マニュアル作成ツールのデメリットを3つご紹介します。ツール導入を含め、新しい取り組みでは何かとコストが発生するものです。
導入前後でも生産性をできる限り担保するために、計画性を持ったスケジュールを組みましょう。
1.ツール使用を社内でルール化する必要がある
マニュアル作成ツールの導入は業務効率化につながりますが、新しいツールを使用する際に社内で新規ルールを追加する必要があります。現状とは異なるタスクや注意点が追加されるため、従業員がストレスや不安を感じる可能性があるでしょう。
またツールが浸透するまでは、新しいルールを理解できずに業務がストップしたり、思わぬミスやエラーが発生したりする事態も考えられます。
2.有料ツールを使うとコストがかかる
多くのマニュアル作成ツールには無料トライアルが展開されていますが、本格的な導入を検討する際には金額的なコストが発生します。
ツールによっては月々数万円程度で導入できるケースもありますが、中には100万円以上の買い切り型ツールも。有料ツール導入の際は、自社の課題解決に見合ったコストであるかを確認する必要があるでしょう。
3.データを失うリスクがある
マニュアル作成ツールだけに限った話ではありませんが、新規ビジネスツールの導入ではセキュリティ面のリスクを加味する必要があります。
例えばツールをインストールした際、ウィルスの侵入によって保存したデータが破壊される可能性もあるのです。業務に大きな支障をきたす前に、ツール制作会社ごとのセキュリティシステムやサービスを確認する必要があります。
マニュアル作成ツールを選ぶ5つのポイント
ここでは、マニュアル作成ツールを選ぶ際のポイントを5つご紹介します。業態や企業の規模などにより、適したマニュアル作成ツールは異なるものです。
自社が抱えている課題を改めて洗い出し、最適なツールを探してみましょう。
1.誰にでも使いやすい操作性か
マニュアル作成ツールは、誰にでも使いやすい操作性であることが求められます。特にIT部門のようなビジネスツールに特化した人材以外が操作する場合、直感的なデザインやユーザーインターフェースかどうかを調べましょう。
ツールを導入した後に人材を決定するのではなく、利用者のレベルに合わせたツールを選ぶことが大切です。状況や環境によっては、多少機能が制限されているプランでも初心者が扱いやすいツールであることが優先されます。
2.使用目的に合う機能があるか
マニュアル作成ツールを選ぶ際は、使用目的に合う機能があるかを調べましょう。例えば技術職に向けたマニュアルを作成する場合、テキストよりも動画によるマニュアルのほうが適している可能性があります。
マニュアル作成ツールを展開している企業では、プランごとに搭載されている機能を一覧で確認できます。まず自社の課題を認識した上で、問題を解決できる機能を選定していきましょう。
3.つくったマニュアルを出力できるか
企業によっては、Webで作成したマニュアルを出力する必要があります。マニュアル作成ツールを選ぶ際は、作成したマニュアルを別の拡張子として出力できるかを確認しましょう。
外部出力では、Excel・Word・PDFなどが代表的です。また別の拡張子のデータをマニュアル作成ツールへアップロードできるかも確認しておくと安心です。
4.マニュアルのテンプレートがあるか
多くのマニュアル作成ツールでは、マニュアル作成時のテンプレートが展開されています。テンプレートの有無で仕上がりの完成度が大幅に変わる可能性があるため、導入時はテンプレートの数や種類を確認しましょう。
5.無料でお試し利用ができるか
どんなに優れた機能が搭載されたマニュアル作成ツールでも、実際に使ってみないと自社に合うかはわかりません。無料トライアルが備えられているかを確認した上で、本格的な投入は段階的に検討していきましょう。
機能が制限された無料プランだけでは実感しにくい部分も多いため、製品版を購入したユーザー・企業のレビューを参考にすることも大切です。またトライアルでは期間が制限されているケースが多いため、テストでは余裕を持ったスケジュールを設定しましょう。
マニュアル作成ツールのおすすめ9選
ここでは、おすすめのマニュアル作成ツールを9種類ご紹介します。ツールによってサービスの内容や料金プランも変わるため、まずは無料で試しながら自社に合う商品を選んでいきましょう。
業務手順書向けマニュアル作成ツール3選
まずは業務手順書向けのマニュアル作成ツールをご紹介します。業務手順書では、明確な目的と簡潔な表現が重要になります。定期的に手順書が更新される可能性も加味した上で、修正や編集がしやすいツールを選ぶことがポイントです。
1.Teachme Biz(ティーチミービズ)
プラン | 料金/月 |
ベーシックプラン | 10万円 |
エンタープライズプラン | 30万円 |
スタータープラン | 5万円 |
Teachme Biz(ティーチミービズ)は、誰でも簡単にわかりやすいマニュアルを作ることに特化したツールです。テンプレートに沿って画像と文字を入力するだけで、視認性が高いマニュアルを作成できます。
手順を一つずつ表示する「ステップ構造」を取り入れており、完成後の更新も容易です。16言語に対応した自動翻訳機能が搭載されているため、外国人の従業員が多い企業に特におすすめのツールだといえるでしょう。
2.Dojo(ドージョー)
プラン | 料金/月 |
スタンドアロン版 | 要問合せ |
フローティング版 | 要問合せ |
Dojoは、自動キャプチャー機能で簡単にマニュアルが作成できるツールです。ユーザーサポートサイトによる各種情報提供やヘルプデスクが充実しているため、導入後の疑問点が解決しやすいことが特徴です。
プランは2種類展開されていますが、それぞれで取得するライセンスの数によって価格が変動します。無料トライアル期間も設けられているため、まずは資料請求から始めてみてはいかがでしょうか。
3.PMX(ピーエムエックス)
プラン | 料金/月 |
ライトプラン | 5万円(初期費用10万円) |
スタンダードプラン | 10万円(初期費用20万円) |
アドバンストプラン | 要問合せ(初期費用30万円) |
PMXは、マニュアル作成の分業化や多言語コンテンツ対応に特化したマニュアル作成ツールです。シンプルで使いやすいユーザーインターフェースには一貫性があり、ITツールに不慣れな人でも使いやすいツールだといえるでしょう。
複数名でのライティング・メディア素材作成・編集などがクラウド上で一元化されており、テレワーク環境でもマニュアルを作りやすいことが特徴です。また国内ベンダーならではの手厚いサポートも魅力的です。
動画マニュアル・OJT向けマニュアル作成ツール3選
ここでは、動画マニュアル・OJT向けマニュアル作成におすすめのツールを3つご紹介します。テキストだけでは伝えにくいマニュアルを作成する場合は、視覚的な表現の工夫が重要です。ツールの機能を見比べ、自社の現場の環境に合うものを選びましょう。
1.tebiki(テビキ)
プラン | 料金/月 |
エントリープラン | 要問合せ |
ビジネスプラン | 要問合せ |
エンタープライズ | 要問合せ |
tebikiは、自動字幕・画面録画・映像編集・図形挿入・レポート・自動翻訳など基本的な機能を網羅したマニュアル作成ツールです。現場のスタッフが簡単にマニュアルを作成でき、字幕も翻訳も自動でテキストを生成してくれます。
スマートフォンで撮影した動画をマニュアル化できるため、手軽に撮影・編集できる点も魅力的です。マニュアルはすべてクラウドへ移行でき、どの従業員がマニュアルをチェックしたのかを網羅的に確認できます。
2.VideoStep(ビデオステップ)
プラン | 料金/月 |
企業の規模に応じて変動 | 要問合せ |
VideoStepは、文字や画像だけでは伝わりにくいマニュアルを「1対1教育」のような動画に置き換えられるツールです。ユーザーインターフェースの類似性から、パワーポイントを使い慣れている従業員におすすめです。
動画素材はもちろん、PDFやパワーポイントの資料からも動画を作れます。マニュアル作成において既存のデータがある場合、ゼロから作り直さずにツールに踏襲できるのは嬉しいですよね。スマートフォンのアプリにも対応しており、オフライン環境でも閲覧可能です。
3.soeasy buddy(ソーイージーバディ)
プラン | 料金/月 |
利用人数に応じて変動 | 3.9万円~ |
soeasy buddyは、動画メインのマニュアル作成にSNSでのコミュニケーション機能を備えたツールです。スマートフォンで撮影後、投稿ボタンをタップするだけで動画マニュアルが完成し、自動字幕で編集もいりません。
SNS機能を活用することで、マニュアルを共有するだけで終わらない「教え合う環境」が生まれます。読み手が疑問を感じたらすぐに質問できるため、良質なコミュニケーションを維持したままノウハウの向上を目指せることが特徴です。
操作手順書向けマニュアル作成ツール3選
ここでは、操作手順書向けにおすすめのマニュアル作成ツールを3種類ご紹介します。操作手順書で重要視されるポイントは、読み手が途中で迷わずに一連の流れを理解できることです。必要に応じてアニメーションや図形なども活用しながら、従業員の理解レベルを上げていきましょう。
1.Fullstar(フルスタ)
プラン | 料金/月 |
フリー | 無料 |
ライト | 6万円 |
エンタープライズ | 要問合せ |
Fullstarは、コードを使わずにチュートリアルが作成できるマニュアル作成ツールです。エンゲージメントやアンケートの機能なども表示でき、従業員の声を反映させながら内容を改善できます。
また従業員の進捗ごとに最適なタスクを割り当てられ、成長段階に応じた操作手順マニュアルが実現できます。無料プランではチュートリアルを一つ作成できるため、まずはユーザーインターフェースを実感しながらプランを選定しましょう。
2.iTutor(アイチューター)
プラン | 料金/月 |
Mac専用エディション | 16.5万円~ |
エントリーオフィスエディション | 27.5万円~ |
エントリービデオエディション | 27.5万円~ |
スタンダードエディション | 49.5万円~ |
プロフェッショナルエディション | 66万円~ |
iTutorは、パソコンの操作を自動的にキャプチャ・スライド化してくれるマニュアル作成ツールです。クリックや入力などの操作も自動でテキスト化され、自由に編集も可能です。パソコンの画面上で複雑な操作が要求されるチームでは、特におすすめのツールといえるでしょう。
すでに2,100社以上に導入されており、実績面でも安心感があります。またユーザー向けにiTutor学習用のセミナーも度々開催されているため、疑問点をオンラインで解決しやすいことも魅力です。
3.EZLecture(イージーレクチャー)
プラン | 料金/買い切り |
ライセンス | 35万円 |
3ライセンスパック | 84万円 |
5ライセンスパック | 125万円 |
EZLectureは、キャプチャ・画像取り込み・ペイント・アノテーション・音声合成など幅広い機能が搭載されたマニュアル作成ツールです。多言語対応はもちろん、自由に使える豊富なカスタムテンプレートが用意されています。
マニュアル作成にはもちろん、オートデモやチュートリアル、トレーニング教材なども作成可能です。月額プランはなく買い切り価格ですが、公式ページでは無料の体験版が公開されています。
マニュアルツールを導入して、業務を効率化させよう!
今回は、マニュアル作成ツールの重要性やメリット・デメリット、おすすめのマニュアル作成ツールなどをご紹介しました。マニュアル作成ツールは、作成における時間や人員のコストを削減するだけではなく、業務自体の品質を向上させる役割もあります。
わかりやすく視認性が高いマニュアルは業務への理解度を上げ、全体の作業レベルを引き上げます。またマニュアル生成の自動化や効率化は、DX施策における働き方改革の一歩にもなるでしょう。
昨今、企業ではDXを推進することが叫ばれています。DXと業務効率化は何が違うのか、何をすればDXを推進することになるのか、よくわからないという方も多いでしょう。 DX(デジタルトランスフォーメーション)とは「デジタルによる変革」を意味[…]