働き方改革やDX推進が進む現代社会において、自動化ツール・RPAの導入により、業務改革を目指す企業が増えてきました。しかし、いざRPAを導入したものの効果が得られず、コストや工数がかさんで失敗に終わってしまうケースも少なくないようです。
本記事では、RPAのよくある失敗事例や落とし穴、対策について解説していきます。本記事の内容を参考に、RPA導入にありがちな失敗を回避しましょう。
よくあるRPAの失敗事例
まずは、RPA導入・運用のよくある失敗事例をまとめました。
- RPAが活用できず、導入効果が実感できない
- 目的設定をせずに進めてしまい、RPA推進の目的を見失う
- 運用・メンテナンスのための社内リソースがない
- RPAが現場に浸透しない
最もよくあるのが、RPAを導入してみたものの、うまく活用できずに導入効果が実感できないこと。目標が達成できない、あるいは事前に目的設定をしなかったためにRPAの推進の目的自体を見失う例があります。
また、「運用・メンテナンスのための社内リソースがない」「RPAが現場に浸透しない」といった、RPAを扱う人材に関する失敗事例も存在します。
次章以降では、このような失敗を引き起こす、RPAの“落とし穴”を紹介します。
落とし穴1.期待した成果が出ない・RPAに期待をしすぎてしまう
RPAのよくある落とし穴の1つが、期待した成果が出ない、あるいはRPAに期待をしすぎてしまうことです。
対象業務がRPAに適してない
期待した効果が出ない原因として、そもそも対象業務がRPAに適していないことが考えられます。
RPAには、実現できることとできないことがあります。対象業務の選定を誤ってしまうと、コストや工数だけが膨らんでしまい、効果を実感できずに終わってしまうのです。
目的設定をしていない
事前に目的設定をしていないことも、失敗する原因の1つです。
目的設定とは、現状(As-Is)と理想(To-Be)の状態を設定すること。RPA導入後の効果測定において大切な指標となるため、疎かにすると「効果が出ているか否か」が曖昧になってしまうのです。
対策
まずはRPAで実現できること・できないことを事前に把握し、適した業務を選定しましょう。
RPAが得意なのは、ルールの定められたルーティンワークです。例えば、資料作成や電話・メール対応等があげられます。
反対に、イレギュラーな業務や思考・判断が求められる業務は、RPAには不向きです。例えばファイルに記載ミスがあった場合、人間であれば臨機応変に対応できますが、RPAによる処理ではエラーとなってしまいます。
RPAでできること・できないことについては、次の記事を参考にしてください。
また、RPA導入の目的を明確にすることも大切です。導入後の効果測定・改善に活かせるよう、事前に必ず定めておきましょう。
さらに、最初は短くてシンプルな業務を選定することも重要です。長くて煩雑なフローへ、いきなり導入しようとすると、エラーを起こしてしまう可能性があります。
まずは業務を可視化した上で、短くてシンプルな業務から優先的にRPA化しましょう。
落とし穴2.ロボット稼働中のトラブル
目的設定・業務可視化を終えて無事にRPAを導入できても、稼働中にトラブルが起こる可能性はゼロではありません。
何らかのエラーによってロボットが停止して業務が進まない、あるいは誤った処理をしてしまうケースがあります。
ロボットが停止して業務が進まない
RPAの開発時と実行時で環境が異なる場合、想定外の状態に対応できずエラーを起こしてしまうケースがあります。
例えば、処理対象のファイルやデータが存在しない場合、インターネット環境やアプリケーションの仕様が変更された場合などが該当します。
ロボットが誤った処理をしてしまう
RPAが低品質の場合や、業務フロー・実行環境が変更された場合に起こり得ます。
厄介なのは、メンテナンスをしない限り、RPAが誤った処理をし続けてしまうこと。「気づけば大量のミスが発生していた」ということにもなりかねません。
対策
ロボットが停止・誤作動しないための対策として有効なのが、エラーに対処できるフローを組み込むことです。
例えばファイルやデータが存在しない場合を想定し、あらかじめエラーメッセージの表示やアラートの送信機能を搭載することで、稼働中のトラブルを防止します。
また、実際にトラブルが起こった場合に備えて、データのバックアップ体制やサーバーの冗長化を行なっておくと安心です。
落とし穴3.メンテナンスの不足
システムエラーを起こしかねないRPAは、導入後の定期的なメンテナンスが欠かせません。メンテナンス不足によって、思わぬトラブルに見舞われるケースがあります。
野良ロボット化
メンテナンス不足の一因となるのが、導入したRPAの管理者が不在となる「野良ロボット化」です。
例として、開発者が退職・異動した場合や開発を外注した場合があげられます。RPAに詳しい人材が社内におらず、その後のメンテナンスを誰も担当できない状態になってしまうのです。
その他にも、「業務効率化が見込めない」「運用が難しい」といった理由でRPAが放置されてしまうケースもあります。
野良ロボット化が進むとRPAが不具合を起こすリスクが高まり、業務や企業活動に支障をきたしてしまう可能性があります。
対策
メンテナンス不足の対策としてあげられるのは、RPA開発・運用人材を確保すること。定期的なメンテナンスのリソースを確保するために、必ず専任の担当者を用意しましょう。
またRPAを自社で開発する場合、担当者が使用しやすいツールを選ぶことも有効です。
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