【活用事例】プロセスマイニングツール「Celonis」を活用した、不正兆候モニタリングの実践(豊田通商)

Celonisを使った分析手順

森田氏:

豊田通商株式会社ではSAPシステムを導入し、グローバルで利用しています。Celonisを活用した分析は、日本以外のグローバル拠点での販売管理業務と購買管理業務を対象に行いました。

分析までの流れは、4つのサーバーで構成されているSAPシステムから、アクティビティやタイムスタンプなどのイベントログデータをダウンロードし、Celonis IBC(Intelligent Business Cloud)にアップロードします。

その後データを分析するために、独自開発したリスクシナリオ分析用のダッシュボードで不正兆候モニタリングの活動を行なっています。

Celonisの導入効果1.不正をグラフィカルに確認できる

森田氏:

Celonis導入によって判明できた不正兆候の例のひとつが、請求書発行から請求書消込の所用日数です。

通常の会社の場合、標準的な日数は45日程度であるのに対し、ある会社は6日と極端に短い日数で処理されていたことがわかりました。このように他の会社と比較して極端に異なることを不正の兆候のひとつとして捉え、その会社に対しては詳細な取引を確認し、不正の有無のチェックを行いました。

Celonisの優れている点は、グラフィカルに表示されることで直感的に分かりやすく、すぐに理解できる点と、対象のSAPデータの明細を簡単に表示し確認できるところです。
※SAP…SAP社が製造するERP製品(企業全体の資源を管理するシステム)。

Celonisの導入効果2.時系列で分析ができる

森田氏:

Celonisを使ったプロセスマイニングの分析の特徴のひとつが、タイムスタンプの分析です。

休日や早朝、深夜など業務時間外にSAPを利用していないか、どのような処理を行なっているのかを分析することができます。

これにより、深夜に請求書の消込が行われていたことが判明した例があります。その後取引の詳細や作業担当者に深夜に作業をした経緯を聞き、不正の有無のチェックを行いました。

このように、複数の会社をビジュアル的に比較し、時系列的な分析を行えることがCelonisを使ったプロセスマイニングの特徴です。

今後のCelonisの展開予定

森田氏:

豊田通商株式会社は、2021年10月にCelonis IBCを本格導入し、同年12月にCelonis IBCと社内データウェアハウス(Snowflake)との接続を行います。その後2022年4月にはCelonis IBCと社内データウェアハウスの直接接続によるデータ分析の開始を予定しています。

社内では3つの展開予定があり、1つ目は内部統制部門で、プロセスの標準フローから逸脱した業務処理を可視化し、リスクや異常活動の検知を継続的に行います。2つ目は内部監査部門で、広範囲におけるモニタリングを行い、タイムリーな詳細分析実施に役立てます。3つ目は営業部門で、ビジネスプロセスをリアルタイム監視を行い、業務効率化のための自動化を推進します。

 

最後に森田氏は「プロセスマイニングを活用したデータ分析の取り組みで、コンプライアンスを始めとするグループガバナンス全体に貢献できると信じています」と述べ、Celonisの今後の可能性に期待を込めていました。

不正の抑止に繋がるプロセスマイニングツール

豊田通商株式会社による、プロセスマイニングツールCelonisを不正兆候のモニタリングに活用した動機やプロセス、効果を紹介しました。

豊田通商の事例から、プロセスマイニングツールを使うことで、業務状況が可視化できる上に時系列での分析が可能なことがわかります。不正の抑止力が高まる効果が期待できるでしょう。

今回のイベントレポートを、プロセスマイニングツール利用を検討する際に役立てていただけたら嬉しいです。

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