業務改善担当者がいま、プロセスマイニングに注目すべき理由

働き方改革へのニーズに伴い、多くの企業が取り組む業務改善。近年はDX(デジタルトランスフォーメーション)の文脈も含め、さまざまな企業が業務プロセスの効率化や見直しを行なうようになりました。一方で、

「業務改善をしたいけど、やり方がわからない」
「なにを効率化すればいいのかわからない」

と悩む経営者や担当者もいるのではないでしょうか。

そこで、近年注目されているのが「プロセスマイニング」。プロセスマイニングとは業務で使っているシステムのイベントデータ(操作履歴)を元に業務の可視化や分析を行うツールです。

今回は

  • プロセスマイニングを知らない
  • 知っているけど有用性がわからない
  • これから導入を考えている

という方に向けて、プロセスマイニングエバンジェリストの松尾 順さんにプロセスマイニングの有用性や将来性について伺いました。

プロフィール

松尾 順さん(まつお じゅん)

プロセスマイニング・イニシアティブ 代表

プロセスマイニングエバンジェリスト/データサイエンティスト

外資系マーケティングリサーチ会社、シンクタンクを経て、広告会社、ネットベンチャー、システム開発会社などでマーケティングや事業開発プロデュースを経験。

2018年からの日本でのプロセスマイニング導入にいち早く参画し、データ分析や業務改善コンサルティングを担当してきた。現在は、プロセスマイニング専門のコンサルタントとして、企業のプロセスマイニングの導入支援を行いつつ、プロセスマイニングの啓蒙活動・人材育成に注力している。

改善すべき業務が定量的に見える化できる「プロセスマイニング」

ーープロセスマイニングの第一人者である松尾さんがプロセスマイニングに注目した理由を教えてください。

1つはプロセスマイニングによって、ボトルネックになっている業務ーーつまり、改善すべきことが定量的に見える化できることです。

業務改善コンサルティングを行なう中で、正確に改善すべき業務が把握できない、改善の必要性の理解が難しい企業さんが多かったのですが、プロセスマイニングによって改善すべき問題が把握しやすくなりました。

もう1つ、私のマーケティングリサーチなどのデータ分析に関わるキャリアも背景にあります。

プロセスマイニングはツールなどを使って業務を可視化します。ここで必要になるのが、ツールで抽出したデータを分析して、改善すべき業務を “解釈” することです。私自身のデータ分析への専門性と、業務改善に対する知識と関心をかけ合わせた結果、プロセスマイニングの活用支援において強みを活かせると考えています。

プロセスマイニングで業務改善やDXにかかるコストを大幅に削減

ーープロセスマイニングはどのように業務改善に影響するのでしょうか?

プロセスマイニングの最大のメリットは、業務可視化にかかるお金・時間を含めたコストが大幅に削減できることです。そして、改善すべき業務が容易に、かつ定量的にわかります。

今までは、改善すべき業務を発見するための業務可視化に膨大な時間を掛けていました。管理者や現場へのヒアリングやワークショップ、実際に作業者の背後から見て、作業を逐次メモに取るようなこともしていましたね。

こうした方法だと、業務可視化までに膨大な時間がかかってしまうため、問題を見つけて改善のプロセスに入った時には “息切れ” してしまいがちで、業務改善プロジェクトが頓挫してしまう企業さんも。これでは本末転倒ですよね。

そこで近年、注目されているのがプロセスマイニングです。ツールを用いて業務データから自動的に業務プロセスのフローチャートを作り、詳細が必要な業務だけヒアリングでカバーする。

数ヵ月〜半年ほどかけていた可視化の工程が、プロセスマイニングを使うことで1週間〜1ヵ月程度の短い期間でできるようになりました。結果として、業務改善全体のコストも下がりますし、本来の目的である業務改善にしっかり取り組めます

課題になる業務を定量的に抽出でき、効果がわかりやすいこともプロセスマイニングのメリットです。

ヒアリングだと「人が記憶していること」しか顕在化しません。複数の担当者や部署を横断している、非効率の自覚がない、文書化されていないなどの業務はヒアリングでは抽出が難しく、問題発見につながらないこともあります。また、現場が非効率に感じていても、管理者は把握していないことも。

プロセスマイニングはデータを用いて定量的に分析するため、ボトルネックになっている業務が数字に基づいて分かります。「ここを業務改善すべきだ」と可視化でき、現場や経営陣を説得しやすい。さらに、業務改善の前後での効果検証もわかりやすいのもメリットですね。

無駄だらけのプロセスを発見し、改善すれば確実にコストが削減できる。コストを下げ、質の高いものを提供できれば、顧客満足度の向上にも繋がるでしょう。

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