【セミナーレポート(前編)】RPA導入企業に聞く「本音で語るRPAの始め方・導入編」

RPA HACK編集長の藤澤さんが、中小企業RPA導入のRPA推進担当者リアルな本音を聞き、RPAの導入や推進で悩みを抱えている人の手助けができるようにと開始された本セミナー。

今回は第3回目となりますが、テーマはRPA導入企業に聞く「本音で語るRPAの始め方」。ゲストには昭和企業で0からRPAを導入した経験のあるあーちゃんさん。

事前にツイッターであーちゃんさんに対する質問を募集し、藤澤さんとあーちゃんさんの対談形式で視聴者のリアルな悩みに答えていくセミナーとなっています。

登壇者

司会:藤澤専之介さん

Peaceful Morning株式会社 代表取締役CEO

2018年Peaceful Morning株式会社設立。

RPA(Robotic Process Automation)に着目し、日本最大規模のRPAエンジニアの就業プラットフォーム「RPA HACKフリーランス」、オンラインRPA伴走サービス「Robo Runner(ロボランナー)」をリリースしRPA領域で成長中

登壇者:あーちゃんさん

愛知県の製造業に6年間勤務。2019年からRPA導入を開始。友人のツイッターをやると東京の人と繋がれるの一言からSNSを始め、クラウドすら通じない昭和な会社でRPA導入に孤軍奮闘する姿がTwitterで話題に。 「中小企業をITで変革し地方に明るい未来を」が人生目標。

あーちゃんさんについて

2年前は人事と総務を担当していたあーちゃんさん。

その際、ハローワークに提出する書類を手書きで書いておりとにかく残業が多かった。人事ソフトでデータを電子化しているにも関わらず、そのデータをもとに手書きで再度書き起こす日々。そんな面倒な業務をなんとか改善した位と思い、方法を探し始めRPAをみつける。「これしか無い!」思い企画書を提出したのが2019年の正月。

1月から導入するための活動を開始して、まず取り入れた部署は人事総務部。そこで業務自動化が成功したため、すぐに全社展開へ。しかしある日のこと、コロナにより会社を休業していたとき、RPAの予算がなくなっていることを知る。悩みに悩んで数千円のツールで自動化をやらせて欲しいと頼み込み、現在ツールを変更するために動いている。

PCの保守なども行っており、RPAを製作出来る時間は1日30分とれるか取れないかだった。そのため、送出時間は2年間RPAを使っておよそ200時間。日換算すると30分程度で社内でも責められてしまうような状況。成果があげられるような環境が整っていなかった。

その状況下でも、RPAの重要さについて掛け合い続け、今まで自動化してきた業務が手作業に戻ることを伝えたが、上司からは「休業するくらい人が余っているんだから手作業に戻せば良い」と衝撃の言葉を返される。

このとき勤務2年目で、グループ会社へ出向直後にRPA以上に思い入れのあるワークフローを取り上げられてへこんでしまう。

しかし、RPAを行う中で社内にできた協力者にらしくないぞと励まされて、そこから気持ちを切り替える。

すぐに上司に格安RPAに乗り換えるので、どうにか使わせ欲しいと企画書を持って頼み込み今に至る。

なにがなんでもRPAを導入したい

藤澤さん(以下:藤):それでは、あーちゃんさんはRPAを具体的にどのように導入したのですか?

稟議を通した方法も合わせて教えて下さい。

あーちゃんさん(以下:あ):まず様々なツールを使用してリサーチを行い、自分で調べてベンダーに次から次へと電話でアポを取り、オンラインミーティングとトライアルをやらせていただきました。

べンダーが大変親切で、会社の売上があるにも関わらず「あなたの会社にうちのツールは合わないから、次はここを聞きなさい」と指示をいただけることもありました。

そういったところでだんだんと知識を得て、手書きで行っていたハローワークの業務を電子化するという内容で企画書を書き、稟議を通し、2ヶ月のトライアルを得て、無事効果が出たので本導入を開始しました。

稟議は、結果的に無理やり通す形になってしまいました。

というのも、本来なら企画書を書く際、現状の課題を洗い出し、なりたい姿から何故これが必要かから考えます。そこから具体的なストーリーをまとめ発表するはずでしたが、社内でカタカナ語がほとんど通じなかったので企画書が原型を留めないほどにカットされてしまったのです。

10分という短いプレゼン時間で、RPAという言葉を説明するのに多くの時間をかけなければなりませんでした。

そんな状況でもなんとか稟議を通そうとしたら、稟議は通りましたが結果的にすごくシンプルで都合のいい企画書となってしまい、いいイメージでRPAが伝わりすぎてしまったのです。

いざ、導入へ

:そうだったのですね。

では、そんな中稟議が通りRPAのツールと自動化する業務の選定はどのように行いましたか?

ツールはコストで決めました。

本当はサーバーが良かったのですが、数100万円かかってしまうので断念したのです。

当時は、サーバーにお金を払うことですら、社内で理解されないと思っていました。更に、社内が独自でとっているアプリケーションの操作がしたかったのでサーバーは対象外だったのです。

その後見つけたWinactorは動画もあり、見た目も縦型フローで分かりやすい印象でした。稟議で出た予算は初期費用99800円。その点からWinactorしか無いと思い、トライアルを申し込みました。

RPAの業務選定は転記する業務が相性がいいと調べていて学んだ為です。

なので、人事ソフトからハローワークへの転記を行う業務に決めました。同時に、提出する書類は当時紙だったが、総務省のEWで電子申請ができることもこのときに知ったため、11月と12月で電子申請化をおこないます。単純な貼り付け作業だったが、それがストレスになるためペタペタと貼れる業務に狙いを定めて自動化に取り掛かりました。

未経験なのに、情報が全く入ってこなかった

 

:では、RPAは当時未経験だったと思いますが、どのように学習を行ったのでしょうか。

:トライアル資料や書籍をもとに学習していました。

最初のトライアルでは、A4用紙50枚ほどの資料を使用して学習します。

同時にユーザーフォーラムも見ましたが、難易度が高くて断念してしまいました…。

当時はRPAの浸透率も今ほどは高くなかったので、学習効率は良くなかったと思います。特にWinactorは、書籍が出たことで効率的に学習出来るようになりました。

ヒューマンソリシアさんのエキスパートの問題集と解説使用したことで、学習がグンと進みましたね。当時はプログラミングの経験全くないですし、変数なども知らないし、EXCELも得意な方ではありませんでした。Vルックやピポッドは使えましたが、それ以外は全く使えないくらいのレベル感だったので本当に苦労しました。

キーが効かなかったときに情報がないので、今では考えられないくらいハチャメチャなやり方をしていました笑

RPA運用の決め事は、最低限の情報共有

:RPAの運用する際に、何かルールなどは決めましたか?

:当時は3人で製作していたんです。

なので、ルールをガチガチに決める必要は特にありませんでした。

ですが、好き勝手に使うことは良くないと感じたので、運用書の雛形を参考に最低限の情報共有は行うようにしました。

どの業務をどのように自動化して、どのような条件で動く、大枠のフローはここで、ポイントとしてはこういった点にこだわって作ったといった説明書を紙で1枚作成したのです。

他の人がこの書類を作成したときは、私がチェックした上で実際に動かすというルール決めを行っていました。

A3両面のロボット概要書がイメージで、本当にシンプルなものでした。

とりあえず1つ自動化しよう

:これはあーちゃんのファンの方からの質問です。

1人でRPA導入を行わなければ行けないときに、何から着手したらいいでしょうか?

:私自身、RPA以前に確実に電子化をしないと行けないという自覚はありました。

社内の状況を見て、RPAならブームだしインパクトもあるから、ついでに電子化もなし崩し的に出来ればいいなと考えたんですね。

それくらい、やっちゃおう精神でした!

問題全体を見てしまうと、気が遠くなってしまいます。

なので、とにかく出来るところからやって、成功体験や信頼を積み上げることがすごく大切だと思う。質問者さんも、この業務をやったらこの人がすごく喜ぶよねというところから、切り崩せるところから切り崩すのがいいと思います。

まず1つの業務から自動化してみようぜ、くらいのノリで!

RPAは業務を楽にしたいという想いが強い人ほど成功する

:導入を行うのに、IT知識の高い人材の確保はどのようにおこなったのでしょうか?

:どの程度をITリテラシーが高いと呼んでいいのかは難しいので、リテラシーの高くない状態だった私が、この人RPA出来るかな?と思ったときの判断の基準でお話します。

技術的には、EXCELのVルックアップが出来るか、プライベートでGメールを使っているか等を基準にしました。

ですが基本的に技術よりも、やってみたい、仕事を楽にしたいというマインドが強い方にRPAをやってもらうと成功しやすかったです。気持ちがあれば、いけるんじゃないかと思います。

RPAから「ぶれない大義の大切さ」を学ぶ

:では、RPA導入後の具体的な成果と、導入してよかった点を教えて下さい。

:具体的な成果は定量的に言うと年間200時間です。数字的には全然納得いきませんが、会社内でITに目覚めた人が何人かいたことが大きな成果だったと思います。

身近な業務で紙送付だったものを「メールでもいいんじゃない?」と考え出してくれた人もいたり、会社に評価はしてもらえなくても確実にITが社内に浸透し始めたことが一番の成果でした。

特に嬉しかったのは、私のRPAを導入する姿を見てテレワークを導入した同僚がいた事です。新しいものを社内に入れていくことはスキルとしては定義しにくいことだが、そういったことをRPAを通して学んでもらえたことはすごく有り難いと思いました

また、何か新しいことを行うときに、目標をどこに置くかが大切だという話を良くしていて。RPAを始めるとき「人にしか出来ない付加価値ののある仕事をする為に、RPAをやりたい」と伝えていました。そのおかげで、周りに批判的な意見を言われても意思がブレなかったんです。そういったところはすごくいい経験でした。ぶれない大義の大切さを体感出来たと思います。

木の棒と布で戦っていた当時

:RPAを導入する際の周りの意見はどのようなものだったのでしょうか?

:基本的に「どんどんやれ!」という感じです。RPAの導入は全社方針にも入っていますし、社長が社員に向けて出すメッセージにもよくRPAをやりなさいと書いてありました。

ただ、プロジェクトをする上には必要な資源が供給されないと実行出来ないじゃないですか。それが出なかったんですよね。

当時IT系の人とお話をさせて頂いたときにも「君は戦で言うところの木の棒と布で戦っているね」と言われていました。

:どうしてそういった状況になってしまったのでしょう?

:まず会社内でプロジェクト推進の要件の議論が社内で存在しなかったですし、出来なかったんです。だからこそ新しい技術が導入されずに昭和感の漂う会社となったわけですが。

一方で、自動車も100年に1度の変革期を迎えていて、このままではダメだという意識は社内でもかなりありました。ただ、新しいことを導入する為に何かをした経験がないので、やれとは言うけど必要な支援ができなかったんだと思います。

続きは後編で↓↓

【セミナーレポート(後編)】RPA導入企業に聞く「本音で語るRPAの始め方」