プロセスマイニングの歴史と種類について

業務改革コンサルタントの与田です。今回はプロセスマイニングとは何か、その定義について具体的な深堀をしていきます。

プロセスマイニングの歴史

 

1990年代後半プロセスマイニングが誕生

プロセスマイニングは1990年代後半にオランダで誕生しました。もとは研究機関などで研究が進められる学術的なもので、生みの親はアーヘン工科大学のアールスト教授です。もともとは業務ワークフローなどを研究していましたが、業務を可視化するうえでユーザーインタビューなどの方法しかなく精確な可視化が難しいことに課題を感じていました。


そこで、人を介さずにシステムのイベントログから業務を紐解くことができないか研究をはじめたことがプロセスマイニング誕生のきっかけです。1990年代はSAPをはじめとした業務システムが企業に普及し、オフィス業務の多くがシステム化されていく時代へと変化していったことがプロセスマイニングを生み出したといえます。

2000年代後半 ベンダーが登場

2000年代の前半はまだアカデミックで盛り上がっているのみで、実際にビジネスに活かす動きはまだ見られませんでした。しかし2007年ころからプロセスマイニングのツールをビジネス向けに開発するベンダーがヨーロッパを中心に登場し始めます。

特に注目すべきが2011年に誕生したCelonisです。当初はドイツの有力企業であるシーメンスやバイエルからCelonisを活用した業務改革に注目が集まり、ビジネスでプロセスマイニングが活用されていく大きなきっかけとなりました。

2015年ころ 海外企業で活用され始める

プロセスマイニングが実際にビジネスで活用されるようになってきたのは最近です。2015年ころからエンタープライズ企業を中心にじわじわと導入社数が増えており、次世代の技術キーワードとして注目されています。

特にRPA(RoboticProcessAutomation)が注目されたことにより、RPAと相性の良いプロセスマイニングを活用していく動きが活発です。日本では未だ導入事例が少ないですが、世界で最もRPAが普及している国でもあるため今後プロセスマイニングの活用に注目が集まることが予測できます。

プロセスマイニングとタスクマイニング

プロセスマイニングと似たワードでタスクマイニングと呼ばれるものも存在します。これらはどのような違いがあるのでしょうか?

 

 

システムログから可視化するプロセスマイニング

プロセスマイニングはSAPやSalesforceなどのシステム固有のログを収集して、業務改革したい特定の業務がどのように行われているか可視化します。

収集するデータは「イベントログ」と呼ばれます。例えば請求書処理業務が対象であれば、請求書の処理件数・処理にかかる平均時間・手戻りの発生率などその業務のKPIを設定してモニタリングすることができます。

PCログから可視化するタスクマイニング

一方でタスクマイニングはWindowsやMacなどのPC固有のログを取得し、どのような業務に時間を割いているか・どのような操作で業務を行っているかを可視化します。

収集するデータは、操作しているウィンドウタイトルやURL・アプリケーションなどで操作と業務を紐づけることで従業員の工数を把握し業務改革すべき部分を見つけることができます。

どちらを選べばよいか?

どちらを活用するべきか業務改革を進める上で困っている部分に応じて判断する必要があります。

具体的に改革したい業務は決まっていて、非効率になっている原因を究明したい場合などはプロセスマイニングを活用することで効率的にするめることができます。

一方でざっくりと業務改革を進めていきたいがどこからてをつけていけばいいか分からない場合はタスクマイニングを活用してスピーディに対象業務を見つけることが有効な活用方法です。

日本企業では現場で行われている業務がブラックボックス化している場合が多いため先ずはタスクマイニングで棚卸しを実施、そこから選定した業務にたいしてプロセスマイニングで深堀をしていく使い方がフィットすると思われます。

資産管理ツールの違いは?

従業員のPCを管理する資産管理ツールや稼働監視ツールなどもありますが、プロセスマイニングと混合されることがあります。PCのログを取得するという機能は同じですが、可視化できる情報には違いがあります。

SKYSEA Client Viewなどに代表される資産管理ツールは名前のとおり資産管理を目的としています。数ある機能の中にログ取得の機能もありますが問題のある動きをしていないか監視することがメインとなっており業務改革を進めるために必要なデータを出してくれる訳ではありません。

プロセスマイニングラボでは業務改革を進めるためにログを活用するツールをプロセスマイニングと定義していますが、言葉遊びでしかないので自社で資産管理のニーズがある際にはプロセスマイニングツールと比較して検討すると良いでしょう。

プロセスマイニングツールの種類

プロセスマイニングツールに未だ明確なジャンル分けというのは存在していませんが、以下のような観点から各ツールの違いを見定めることができます。

ログのタイプ

まずはシステム固有のログを取得するのか、端末のログを取得するのかに大別することができます。全社の場合は初期設定としてシステムとの連携作業が必要で後者は各端末へのインストールが必要となります。また、どちらにも対応したハイブリット型のツールも存在します。

対応システム

システム固有のログを取得するタイプのプロセスマイニングツールの場合、おのずと対応できるシステムに限りがあります。SAPやSalesforceなどのメジャーな業務システムは対応していることがほとんどですが、マイナーなシステムや自社独自のものを利用している場合はプロセスマイニングツールが対応できるか検証する必要があります。

レポーティング

収集したデータからどのようなレポーティングがアウトプットとして出てくるか、ツールによって違いがあります。アプリの利用時間だけを出すものもあれば、業務フローチャートや各業務での具体的な操作など詳細にレポートしてくれるツールもあります。

まとめ

プロセスマイニングツールがどのようにして生まれて、現在どのように発展しているのか理解することでより興味をもっていただけると幸いです。

プロセスマイニングラボ(略してプロラボ)では、プロセスマイニングの基本的な知識から活用方法、事例などをわかりやすく発信して参りますので他の記事もぜひ参考にしてみてください!

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